EC運用代行の費用は月30〜50万円が中心。選び方7基準と発注後の確認法を元Amazon出身者が解説。
「EC担当が実質ひとり。受注も広告もページ改善も、もう回らない……」
「外注は考えているけれど、月30万円を払って何も変わらなかったら社内で説明がつかない……」
元Amazon JapanでEC支援に携わってきた私、南雲が、EC運用代行の費用相場・委託できる業務・利益が残る選び方を解説します。EC運用代行の費用は月15万円から100万円超まで幅がありますが、金額の差は「サービスの豪華さ」ではなく「何名がつくか」の差です。そして外注で失敗する原因の多くは、会社選びではなく自社の課題を切り分けないまま任せてしまうことにあります。本記事は、委託できる業務と費用相場、内製と外注のコスト比較、発注前に聞く7つの質問、発注後に実力を確かめる方法まで整理しました。読み終えるころには、上司や役員に「なぜこの会社に、なぜこの金額を払うのか」を数字で説明できるようになります。
「人がいないから外注する」で決めると、月30万円を払っても数字は動きません。
先に決めるべきは、任せる相手ではなく「任せる範囲」です。LINK株式会社では、現在のアカウントを診断し、課題が流入・CVR・単価のどこにあるかを切り分けたうえで、内製すべき業務と外注すべき業務の線引きをご提案します。
- EC担当が兼務で手が回らず、何をどこまで任せるべきか決められない
- すでに委託しているが、成果が出ているのか判断できない
- 売上向上実績100社以上・売上平均上昇率420%以上(LINK株式会社 支援実績データ/※お客様実績に基づく参考値)
- Amazon・楽天市場・自社ECのいずれかを運営し、リソース不足でEC運用代行の外注を検討している担当者・経営者
- 費用相場と、内製(人を雇う)と外注のどちらが利益が残るのかを数字で比べたい方
- すでに運用代行を使っているが、成果が出ているのか判断できず契約継続を迷っている方
この記事のまとめ
- EC運用代行とは、ECサイト・ECモールの売上を伸ばす実務(商品ページ改善・広告運用・分析・レポート)を外部に委託するサービスです。ただし「運用代行」「運営代行」の呼び分けに業界共通の定義はなく、本記事では上記の範囲を運用代行と呼びます。見積もりは名称ではなく業務範囲表で揃えてください。
- 費用はコンサルのみで月15万円〜、運用まで入ると月20万円〜が下限。中心レンジは月30〜50万円で、4名体制の手厚い支援になると月100万円を超えることもあります(LINK株式会社 支援実績データ)。
- 金額の差は「何名がつくか」の差。見積もりを見たら「この金額で何名がつきますか」と必ず聞いてください。
- 代行を入れても利益が残らないことがあります。原因は原価・広告費・人件費の3つ。外注を検討する前にこの3つを確認します。
- 広告予算は「月◯万円」の固定金額ではなく「売上に対する%」で握る。固定額は、伸びた月は機会損失、落ちた月は赤字で売上を作ることになります。
EC運用代行とは?委託できる業務と「運営代行・ECコンサル・構築代行」との違い
EC運用代行とは、ECサイトやECモールの売上を伸ばすための実務——商品ページの改善、広告運用、データ分析、レポート——を、外部の専門会社に委託するサービスです。単に手が足りない部分を埋める作業代行ではなく、「どうすれば売れるか」を設計して実行するところまでを担うのが本来の姿です。
EC運用代行に委託できる業務一覧|「売る業務」と「回す業務」の2系統に分ける
委託できる業務は2系統に分けてください。この線引きが、この記事全体の背骨になります。
| 系統 | 主な業務 | 特徴 |
|---|---|---|
| 売る業務 (売上に直結・専門性が高い) | 商品ページ改善、商品名・キーワード設計、画像・動画制作、広告運用、SEO、セール設計、データ分析・レポート | 担当者によって成果が大きく変わる。ここを誰に任せるかが勝負どころ |
| 回す業務 (定型・工数がかかる) | 商品登録、在庫更新、受注処理、カスタマーサポート、レビュー依頼の送信、出荷・物流連携 | 成果の差が出にくい。工数単価(時給)で比較してよい業務 |
「回す業務」は時給で比較できますが、「売る業務」は時給で比較してはいけない。この区別がないまま一括で外注するから、「何にいくら払っているのか分からない」状態になります。
「回す業務」の典型が、レビュー依頼の送信です。Amazonの注文管理画面の「レビューをリクエストする」ボタンを押すと、レビュー獲得率はおおむね3〜5%程度まで上がるとされています。1件ずつ手作業で押すのは非現実的なので、私たちはツールで一括送信し、毎週月曜にまとめて送るルーティンにしています。地味ですが、続けるとレビュー数は着実に積み上がる。こうした「地道だが効く定型業務」こそ、代行に向いた業務です(特典や割引と引き換えにレビューを依頼するのはAmazonの規約違反なので行わないでください)。
「運用代行」と「運営代行」に業界共通の定義はない|言葉ではなく業務範囲表で確認する
この2語に業界統一の定義はありません。一般には「運用=売る業務が中心」「運営=回す業務まで含む包括支援」と説明されます。ただ各社のサービス内容を見比べると、「運営代行」と名乗って広告運用しかしない会社もあれば、「運用代行」と名乗って物流まで担う会社もある。同じ言葉が、会社ごとにまったく違う範囲を指しているのが実態です。
ですから、名称で判断してはいけません。見積もりを取るときは前項の業務一覧をそのまま相手に渡し、「どこからどこまでが見積もりの範囲か」を1行ずつ明示させてください。契約後に「それは範囲外なので別料金です」と言われる事故が大きく減ります。
ECコンサル・EC構築代行・広告運用代行との違い(役割比較表)
混同されやすい5つのサービスは、「実行するのは誰か」で整理できます。
| サービス | やること | 範囲外になりやすい業務 | 費用感の傾向 |
|---|---|---|---|
| EC運用代行 (本記事の主題) | 施策の実行(ページ改善・広告・分析・レポート) | 受注・在庫・CS・出荷 | 中〜高 |
| EC運営代行 | 運用代行+回す業務(受注・在庫・CS・出荷) | 商品企画・原価交渉・サイト構築 | 高 |
| ECコンサル | 助言・戦略設計(何をやるべきかを示す) | 施策の実行(手を動かさない) | 低〜中 |
| EC構築代行 | サイト・店舗の立ち上げ(制作・出店) | 立ち上げ後の運用 | 一括(初期費用) |
| 広告運用代行 | 広告アカウントの運用 | 商品ページ・在庫・CS | 低〜中 |
本記事の主題であるEC運用代行は、この表の1行目です。会社によっては同じ内容を「運営代行」「フルサポート型」「EC支援」と呼ぶこともあるため、名称ではなく業務範囲で見比べてください。
先に伝えておくと、広告運用代行だけを切り出して外注すると成果は頭打ちになりやすい。広告の効率は広告アカウントの中だけでは上げきれず、商品ページのCVR(購入率)が上がれば入札単価を1円も触らなくても改善します。「広告だけ」の委託は、打ち手を半分に縛ることになります。
外注を考える前に|自社の課題は「流入・CVR・単価」のどれかを切り分ける
施策先行ではなく、課題先行で選んでください。私たちが支援に入るとき最初に必ずやるのが、売上を「セッション(流入)×CVR(購入率)×平均単価」の3つに分解する作業です。どこが弱いかを特定しないまま施策を打っても、効かない打ち手にお金を払い続けることになります。
- 流入が足りない → 広告・SEO・キーワード設計を任せる
- CVRが低い → 画像・動画・商品ページ・レビュー施策を任せる
- 平均単価が低い → セット販売・バリエーション設計・価格設計を任せる
「人が足りないから全部お願いします」は、最も高くつく発注の仕方です。どこが弱いか分からないまま包括契約を結ぶと、成果が出なかったときに何が悪かったのかすら検証できません。
EC運用代行の費用相場|料金体系3種と、委託範囲別の月額レンジ
結論から言うと、EC運用代行の中心レンジは月30〜50万円。下限はコンサルのみなら月15万円、実行(運用)まで入ると月20万円以上、というのが支援現場での相場感です(出典:LINK株式会社 支援実績データ)。
料金体系は3種類|月額固定型・成果報酬型・複合型のどれを選ぶか
| 料金体系 | 仕組み | 向くケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 月額固定型 | 毎月定額 | 業務範囲が明確/売上が読める | 成果が出なくても払う。範囲外の作業が別料金になりやすい |
| 成果報酬型 | 売上の◯% | 立ち上げ期/売上が読めない | 売上が伸びるほど支払いも増える |
| 複合型(固定+成果報酬) | 固定費+売上連動 | 中長期で伸ばす前提。実際に最も多い形 | 両方の下限が乗るため、小規模だと割高になりやすい |
実務上、圧倒的に多いのは複合型です。私たちの契約もほとんどが固定+成果報酬で、成果報酬は売上に対してかける形を取っています。
ここで、よくある注意喚起に反論しておきます。「売上ベースの成果報酬は、広告費が膨らんで利益を圧迫するから危ない」——こうした説明を目にしますが、私はこの警告は適切ではないと考えています。問題は成果報酬そのものではなく、広告費比率(TACOS=アカウント全体売上に対する広告費の比率)の上限を握らないまま契約していることだからです。
契約時に「TACOSは◯%を上限とする」と明文化しておけば、成果報酬が売上にかかる形でも広告費が暴走して利益が消えることはありません。成果報酬の是非より、広告費比率の上限を握れる相手かを見る。そのほうがはるかに実務的です。
委託範囲別の費用レンジ|EC運用代行はいくらが目安か
委託する範囲が1段変わるだけで、月額は倍近く動きます。呼び名は会社ごとに違うため、業務範囲を基準に読んでください。
| 委託する業務範囲 | 一般的な呼ばれ方 | 月額の目安 | つく人数の目安 |
|---|---|---|---|
| 助言のみ(実行しない) | ECコンサル | 月15万円〜 | 1名 |
| 広告アカウントのみ | 広告運用代行 | 月10〜20万円程度 | 1〜2名 |
| ページ改善・広告・分析・レポート | EC運用代行/フルサポート型 など | 月20万円〜(中心レンジは30〜50万円) | 2〜3名 |
| +受注・在庫・CS・出荷 | EC運営代行/包括支援 など | 月50万円〜100万円超 | 3〜4名 |
本記事の主題であるEC運用代行は、上から3行目の範囲です。同じ「代行」でも、範囲が1段違うだけで月額は倍近く変わります。見積もりを比較するときは、金額ではなくまず範囲を揃えてください。

上図に自社の見積もりを当てはめて、「金額に対して、範囲と人数が釣り合っているか」を確認してください。範囲が広いのに人数が少ない見積もりは、どこかが必ず手薄になります。
金額の差は「何名がつくか」の差|支援会社側から見た費用の内訳
費用の差は、サービスの豪華さではありません。単純に「何名が、どれだけの時間を割くか」で決まります。
支援会社の側から実態を明かすと、多くの会社はフロントのコンサルタント+アシスタントの2名体制です。コンサル担当も複数の顧客を抱えるため、手が回らない部分をアシスタントがカバーする形になります。私が理想だと考えているのは3名体制——①品質管理者(トップ)、②フロントを担うディレクター/コンサルタント、③実務を担当するアシスタント。品質管理者が入るかどうかで、アウトプットの水準は目に見えて変わります。
案件規模が大きくなり、ディレクターやアシスタントを追加した4名体制になると、月額は100万円を超えることもあります。逆に月15万円のコンサル契約なら、つくのは基本1名。つまり、見積もりを見たら「この金額で何名がつきますか」と必ず聞く。金額だけを並べて比べても意味がありません。
EC運用代行の費用を抑える方法|制作系は代行会社を通さず直接外注する
結論は「売る業務は代行に、作る業務は直接外注に」という分割発注です。制作系は代行会社を通すと中間マージンが乗りますが、直接外注しても品質はそれほど落ちません。相場感はこうです。
- 商品動画:既存のサブ画像をAIツールに読み込ませてスライドショー化すれば、15〜20分程度で1本作れます。クラウドソーシング(クラウドワークス・ランサーズなど)でサブ画像を渡すだけのスライドショー動画なら2万〜3万円程度、もう少し作り込んでも3万〜5万円程度。制作会社にフル依頼すると10万〜20万円程度が相場です。
- UGC風の縦動画:フォロワー1万〜3〜4万人程度のマイクロインフルエンサーに商品をギフティングして制作してもらう方法もあります。無償〜1万〜2万円程度で引き受けてもらえることがあり、作り込んだ横長動画と比べて制作コストは1/10〜1/2程度なのに、パフォーマンスはほぼ変わらないという実感です(※必ず本人に使用許諾を取ってください)。
- 商品撮影:撮影代行を使えば、1万〜2万円程度で100枚近い素材が2週間程度で揃うケースもあります。
動画については、最初から100点を目指さないことをおすすめします。60〜70点の品質でも「設定されていること」自体が効くので、まず設定を優先してください。尺は45秒以下にしておくと、あとでスポンサーブランド動画広告に転用できます。
代行会社に全部乗せると、制作費にマージンが乗り続けます。
【内製 vs 外注】人を雇うのとEC運用代行に出すのは、どちらが安いのか
「リソースが足りないから外注する」——ここで思考を止めずに、「月30万円の代行費」と「人を雇う費用」を並べて比べてください。比べるための数字を出します。
EC実務人材の業務委託の時給相場|アシスタント1,200〜1,300円/ディレクター2,000〜2,500円程度
EC実務人材を業務委託で確保する場合の相場感です。
- アシスタント業務(商品登録・在庫更新・受注処理などの「回す業務」):時給換算1,200〜1,300円程度
- ディレクター業務(広告運用・ページ改善の実行):時給換算2,000〜2,500円程度
これは業界統計ではなく、EC支援の現場で見てきた相場感です。自社で募集する場合は、Indeedのような求人サービスや、クラウドワークス・ランサーズといったクラウドソーシングが候補になります。「回す業務」に時給いくらの人材が使えるのかを知らないまま、月30万円の代行費が高いか安いかは判断できません。
月30万円のEC運用代行費は、何人月に相当するのか(内製・外注コスト比較表)
| 選択肢 | 月あたりのコスト | 得られるもの | 失うもの |
|---|---|---|---|
| 業務委託(アシスタント) | 時給1,200〜1,300円程度 月80時間なら約10万円 | 「回す業務」の工数 | 戦略・広告の専門性はない。育成と管理は自社 |
| 業務委託(ディレクター) | 時給2,000〜2,500円程度 月80時間なら約16〜20万円 | 「売る業務」も一部可能 | 良い人材の見極めに時間がかかる。1人依存のリスク |
| 正社員のEC担当 | 月給+社会保険料 | 社内にノウハウが残る | 採用〜戦力化に時間。辞めたらゼロに戻る |
| EC運用代行 | 月20〜50万円(理想は3名体制) | 専門性+体制+他社事例 | 社内にノウハウが残りにくい(対処法は後述) |

読み方が核心です。月30万円は、アシスタントを月80時間使う金額のおよそ3倍。その差額で買っているのは「専門性」と「体制」です。逆に言えば、任せる業務が「回す業務」ばかりなら代行は割高になります。月80時間の稼働なら約10万円で賄える業務に、月30万円を払う計算になるからです。
もうひとつ、比較表に表れにくい差があります。運用代行を使う最大のメリットは、採用費や教育コストが発生せずに組織が安定することです。人を採れば求人費がかかり、育てる時間がかかり、育った頃に辞めれば全部やり直しになる。代行費だけを見て「高い」と判断すると、この採用・教育・離職のコストが計算から抜け落ちます。
内製が向くケース・EC運用代行が向くケース
| 判断軸 | 内製が向く | EC運用代行が向く |
|---|---|---|
| 課題の所在 | 商品登録・受注・CSなど「回す業務」の工数が足りない | 流入が足りない・CVRが低いなど「売る業務」に課題がある |
| 社内の知見 | EC経験者がいて、判断はできるが手が足りない | 何が正解か判断できる人が社内にいない |
| 作業量の読みやすさ | 日々の作業量が一定で、必要な工数を見積もれる | 施策ごとに必要な専門性が変わり、工数が読めない |
| 対応チャネル | 単一モール中心で、求められる知識が固定されている | Amazon・楽天市場など複数モールで、求められる知識が違う |
| 事業フェーズ | 長期でEC事業を伸ばし、ノウハウを社内資産にしたい | 立ち上げ期で、初期設計を誤ると取り返しがつかない |
正解が「分割」というケースが最も多いです。回す業務は業務委託・アシスタントで内製し、売る業務は代行に出す。全部内製も、全部外注も、最適になるケースは限られます。
人件費は「見えづらい」から利益を削る|代行費も人件費枠に合算して比率で管理する
利益が出ないEC事業者を見ていて共通するのが、人件費が管理から漏れていることです。
EC担当の人件費はモール別のPLに乗ってこないことが多い。社員がAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングを兼務しているなら、社会保険料も含めた人件費を各モールに按分し、「Amazonにはこのくらいのリソースを振る」と管理者サイドで先に決めておいてください。削減ではなく、売上に対する適切な比率を決めて配分するという話です。
そして代行費も、この人件費枠の一部として見てください。「外注費だから人件費とは別」と切り分けると総額が膨らみます。業務委託の方が想定以上に稼働し、委託費だけが膨らむケースは珍しくありません。売上が伸びていないのにコストだけ増える典型パターンなので、代行費・委託費も人件費枠に合算して比率で管理しましょう。
EC運用代行を入れても利益が残らない3つの構造|原価・広告費・人件費
運用代行に依頼して売上は伸びたのに、利益は増えていない。珍しい話ではありません。しかも原因は代行会社の質ではなく、事業側の構造にあることが多い。外注を検討する前に、この3つを確認してください。利益=売上 − 製品原価 − 販管費。原価を抑えるか、販管費を抑えるかしかありません。
①製品原価が高い|運用を磨いても、粗利が薄ければ利益は残らない
粗利が低ければ、どれだけ運用を磨いても利益は残りません。そして運用代行は、ここを直せません。
新商品でメーカーと調整するとき、OEMメーカーは最初の見積もりを高めに出してくることが多いと感じています。だから私は、心を鬼にして最低2回は仕切り値の交渉をする。ここを妥協すると、あとの運用でいくら頑張っても取り返せません。食品(お茶など口にするもの)は比較的原価が高いマーケットなので、販管費や施策設計の側で調整する必要があります。
正直に線引きすると、原価構造まで踏み込む支援は通常の運用代行の範囲外です。メーカーと直接つないでもらって自社の立場で仕切り値を交渉したり、大手物流会社を紹介して物流費を削ったり——という支援をすることもありますが、相応の報酬をいただいているケースや、深く入り込んでいる支援先に限られます。「運用代行に頼めば原価も下がる」とは思わないほうがいい、というのが実務の感覚です。
②広告費のかけすぎ|フェーズごとの目標比率を決めないまま踏み続けている
2つ目は広告費です。ただし本質は金額ではなく、「どのフェーズで何%まで踏むか」を決めていないことにあります。
- 立ち上げ・ブランド構築フェーズ:原価計算上トントン〜多少の赤字も覚悟して、TACOS 20%程度まで強く踏み込む。セールも打ち続ける。
- 立ち上がって利益を残すフェーズ:TACOS 10〜15%程度が適正イメージ。粗利率が高い商材なら5〜7%というレンジで運用し、決まった広告費の中で効率を最大化する。
大事なのは、立ち上げから3ヶ月あるいは半年と期間を先に決め、「この期間は投資フェーズ」と定義しておくことです。月商300万〜1,000万円規模まで来ているのに赤字を踏み続けるのは、事業として難しい。ところが代行に丸投げすると、この切り替えが起きないまま投資フェーズが延々と続くことがあります。フェーズと目標比率は、代行会社ではなく発注側が決めて伝えるものだと考えてください。
TACOSの目安は10〜20%程度に収まる商材が中心です。ただし化粧品・サプリのように原価率が低く(10%前後のケースもあります)競争が激しい商材では、30%程度、ケースによっては40%程度まで踏み込むこともざらにあります。「広告費を落としたら売上が全部下がるのでは」という恐怖から下げられない事業者は多い——支援側の私たちも同じ恐怖を持っています。だからこそ急激に切らず、1ヶ月・2ヶ月かけて徐々にコストコントロールするのが現実的です。
③人件費が高い|「月30万円の代行費」を単体で高い・安いと判断しない
3つ目が人件費です。「月30万円の代行費」を単体で見て高い・安いと判断しない。代行費・広告費・人件費を合わせた販管費の総額が、粗利の中に収まっているかで見てください。特にアカウント立ち上げ時のコスト設計は重要で、初期設計をミスすると後から取り返しがつきません。
売上は伸びたのに、利益は増えていない——外注する前に、自社の数字がその構造になっていないか確認してください。
LINK株式会社では、現在のアカウントを診断し、原価・広告費・人件費のどこが利益を削っているかを特定します。そのうえで、任せるべき業務と自社で持つべき業務の線引きをご提案します。
- 広告費が利益を圧迫しているが、下げると売上が落ちそうで踏み切れない
- 代行費に見合う成果が出ているのか判断できない
- 売上向上実績100社以上/売上平均上昇率420%以上/サービス満足度97%以上(LINK株式会社 支援実績データ/※お客様実績に基づく参考値)
モールは1社にまとめるか、分けて発注するか|Amazon・楽天・自社ECの違い
複数モールを展開している事業者からよく受ける質問です。まず全モールを1社にまとめるほうが効率的。ただし、それで特定のモールが伸び悩むケースがあるので注意が必要です。
モールごとにアルゴリズムが違う=代行会社に求められる能力が違う
Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング・自社ECは、同じ「EC」でも評価ロジックも運用作法もまったく違います。たとえばAmazonの検索順位に最もインパクトが大きいのは直近の販売個数で、しかもその評価は親ASIN単位で行われる——というのが支援現場での実感です(Amazonが公開しているロジックではありません)。だから「バリエーションを統合するかどうか」が売上を左右する。この発想は楽天市場にはなく、楽天市場にはRPP広告、お買い物マラソン等のイベント設計、レビュー施策という独自の勝ち筋があります。
ですから、「ECに強い」という言葉は実務上ほとんど意味がありません。聞くべきは「どのモールに強いのか」です。
支援会社には必ず「得意なモール」がある|LINKの場合も正直に開示します
全モールに等しく強い会社は、まず存在しません。私はAmazon出身なので、楽天市場については「経験はあるが、Amazonのほうが圧倒的に詳しい」と言い切ります。あるD2C企業で責任者として楽天市場を見ていた経験も、楽天支援の経験もありますが、それでも知見の厚みが違う。だからLINKでは楽天市場を支援する際は楽天専門の担当を立て、私や役員が品質管理に入る体制を取っています。実際、楽天市場も一緒に任せていただいているケースは、お客様全体のおおむね30%程度です。
自社の弱みの開示は気持ちのいい話ではありませんが、これがそのまま読者の判断基準になります。「うちは全モール得意です」と言う会社があったら、その言葉自体を疑ってもいいと思います。
▶ Amazon運用代行(BPO)とは?委託できる業務・費用相場・失敗しない選び方
▶ 楽天の運用代行費用はいくら?相場と料金体系3種・利益が残る選び方
1社にまとめるか、モール別に分けて発注するかの判断基準
| 発注の仕方 | 主なメリット | 主なデメリット | 向くケース |
|---|---|---|---|
| 1社にまとめる | レポートの粒度が揃う/在庫・商品情報の連携が取りやすい/窓口が1つで管理が楽 | 弱いモールでは、その会社の実力しか出ない | 1社が全モールに対応でき、社内に管理できる人が少ない場合 |
| モール別に分けて発注する | 各モールで最も強い会社を使える/1社への依存リスクが下がる | 管理工数が増える/在庫・商品情報の整合を自社で取る必要がある | 1社にまとめた結果、特定のモールだけが伸び悩んでいる場合 |
良し悪しはありますが、まず全モールを1社にお願いするほうが効率的です。在庫と商品情報が連携し、レポートの粒度が揃い、窓口も1つで済みます。注意すべきは「それで特定のモールが伸び悩む場合がある」という点。得意モールの偏りは必ずあるので、まとめて任せたあともモール別に売上と施策の進捗を分けて見てください。片方のモールだけ明らかに動かず、その理由を代行会社が説明できない——という状態なら、そのモールだけ切り出して別の会社に出す判断は十分に合理的です。
自社EC(Shopify等)はモールと別物として考える
モールは「既存プラットフォームのルールの中で戦う」ゲーム、自社ECは「集客を自分で作る」ゲームです。求められる能力がまったく違います(広告・SNS・CRM・LTV設計)。モールに強い会社が自社ECにも強いとは限りません。ここも分けて考えてください。
失敗しないEC運用代行の選び方7基準|発注前に必ず聞く質問リスト
「どこがいいですか」に、私は会社名で答えません。商材・モール・フェーズで最適な会社は変わるからです。代わりに、発注前に必ず聞くべき7つの質問をお渡しします。そのまま商談に持ち込んでください。
基準1|実際に運用を担当するのは誰か(営業担当と実務担当は別人が普通)
業界の内側から言うと、営業担当と実務担当がまったくの別人というのは非常によくあるパターンです。営業には社内でも優秀な人材が配置されることが多く、知識もあり印象も良い。ところがその人に魅力を感じて発注したのに、いざ運用が始まったら経験の浅い担当者がつく——というケースが頻繁に起こります。コミュニケーションが取りづらい、タスクが前に進まない、という問題につながります。
聞くべきことは2つ。「実際に運用を担当するコンサルタントは誰で、どんな経歴ですか」「品質管理者は入りますか」。そしてここを質問して濁されたら要注意です。品質管理の行き届いていない業務委託メンバーが担当につく可能性があります。発注者にとって最大の損失はトラブルではなく、「思ったように売上が上がらないまま3〜4ヶ月を無駄にすること」。時間だけは取り戻せません。
基準2|何名体制で支援するのか(理想は3名/フリーランスは掛け持ちが前提)
個人フリーランス1名か、組織のチーム体制かで、対応スピードとリスクが大きく変わります。フリーランスは1社だけでは生活が成り立たないため複数社を掛け持ちしており、能力の高い人ほど案件を多く抱えて対応が遅くなりがち。支援会社はコンサルタント+アシスタントの2名体制が多く、理想は品質管理者を含む3名体制です。組織体制のほうが安心ですが費用は上がるので、費用とのバランスで判断してください。
基準3|代表者の経歴(「Amazon出身」だけでは判断できない。どの部署かを聞く)
中小規模の支援会社では、代表者の経歴とケイパビリティがサービス品質に直結します。ただし「Amazon出身」という肩書きだけでは判断できません。どの部署にいたかが決定的に重要です。
Amazon Japanの中でも、担当していた部署によって身につく知見はまったく違います。大手消費財メーカーなどを担当するベンダー(卸売機能を担う部署)は、セラー向けの販売ノウハウやSEOロジックに触れる機会が限られます。同じセラー事業部でも、営業担当が200社程度の顧客を持つ部署もあれば、少数のセラーに有償でコンサルティングを提供する部署もあります。私が在籍していたのは後者で、当時はセラーの戦略立案・提案を担当していました。
聞くべきことはシンプルです。「Amazonのどの部署で、何をしていましたか」。
基準4|利益・在庫・ブランドの話ができるか(事業者としての目線があるか)
私が最も重視するのは「事業者としての目線があるか」です。売上だけでなく、PL上の利益がどれだけ残るのか、セールを打ちすぎてブランドイメージが毀損しないか、在庫リスクをどう見るか——を一緒に考えられる相手かどうか。「自分でも事業をやっている支援会社」はレアケースなので、事業をしていなくても利益・在庫・ブランドという論点に意識を向けてくれる担当者・代表かを見る、というのが実務的な判断基準です。売上の話しかしない相手は、この目線を持っていない可能性が高い。
なお、この基準が私自身のポジショントークになりうる点は自覚しています(私自身も古着の物販事業を運営しています)。断定ではなく、発注者が確認すべき観点として受け取ってください。
▶ ECコンサルとは?費用相場と選び方・「使えない」の真相を解説
基準5|広告予算を「金額」ではなく「%」で握れるか
広告予算を「月10万円」という固定金額で握ってはいけません。売上に対する比率で握り、その範囲内で柔軟に運用してもらってください。月商100万円で広告費10〜20%=10万〜20万円。これを「10万円」の固定額で握ると、どちらに転んでも失敗します。
- 売上が伸びている月(月商150万円ペース):検索順位が伸びている好機に広告やセールを追加投下すればさらに伸びるのに、予算上限に縛られて売上機会を損失する。
- 売上が落ちている月(月商70万円ペース):10万円をそのまま消化するとアカウント全体の広告費比率が跳ね上がり、事業として赤字で売上を作ることになる。これが最悪です。
物販はシーズナリティ(母の日など)やアルゴリズム変動の影響を受けやすく、調子が良いときは正のスパイラル、悪いときは負のスパイラルが生まれます。固定金額で握っていると、その場に応じたアクションが取れません。聞くべきことは「広告予算は、売上に対する%で握れますか」。成果報酬型への不安も、このTACOSの上限を握ることで解消できます。
基準6|「触ってよい範囲」を契約前に決められるか(商品名・カテゴリー・在庫)
代行会社に管理画面を渡すということは、取り返しのつかない操作の権限も渡すということです。次の3領域は、事前に承認フローを決めておいてください。

| 領域 | 何が起きるか | 契約前に決めること |
|---|---|---|
| 商品名の変更 | 大幅に変更すると、月商100万円程度の商品でその後1ヶ月ほど月商70万〜80万円程度まで落ちることがある。狙っているビッグワードの順位も1位から3位程度まで落ち、1ヶ月ほどかけて徐々に戻るイメージ | 末尾に単語を足す程度なら悪化しにくい。ブランド名以降の全面書き換え・語順の入れ替えは事前承認制に |
| カテゴリーの変更 | 販売実績が積み上がった後に変えると、変更前のカテゴリー名にあたるキーワードで検索対象外になることがある。過去にはテクニカルサポートに問い合わせても復旧しなかった事例も | 原則やらない。最初の登録が命で、「戻せばいい」が効かない |
| 在庫切れ | Amazon運用で最もダメージが大きい。直近の販売個数が0になるうえ、在庫切れ自体が検索順位に不利に働く。一度起こすと順位を戻すのが極めて難しい | 「誰が在庫を見るのか」を契約書に書く。「代行に任せたつもりが、在庫は自社責任だった」が最も多い事故 |
在庫の基本ルールは、直近の販売ペースで2ヶ月分程度をFBAに常時入れておき、残り1ヶ月分程度で追加納品すること。FBAは納品リードタイムとAmazon側の受領作業(2〜3日程度)に加え、プライムデー・ブラックフライデー前は在庫反映が大幅に遅れることもざらで、アンコントローラブルな要素が多いからです。
ちなみに、上級のオペレーションを提案してくる会社は信頼できます。たとえば同一ASINに「FBA用SKU」と「自社出荷用SKU」の2つを登録しておくと、FBA在庫が尽きた瞬間に自社出荷SKUがカートを取り、在庫切れ判定そのものを回避できる。自社出荷の期間はプライムマークが付かずCVRは落ちますが、在庫切れの一発アウトに比べれば遥かにマシです。SKU管理と受注処理の体制が整っていないと組めない設計なので、こういう手を提案できるかどうかが実力差になります。
基準7|自社の商材ジャンルの広告効率の相場観を持っているか
商材によって、広告効率の「合格ライン」はまったく違います。相場観のない会社は、「効率が悪い」という判断そのものを間違えます。
支援現場での目安です(業界統計ではなく、LINK株式会社の支援実績に基づく参考値)。食品は広告費に対する売上の割合がおおむね300〜400%程度が下限で、良いケースでは800%程度出ることもあります。雑貨は300〜500%程度。化粧品・サプリはメニュー別の差が大きく、スポンサープロダクト・スポンサーブランドが100〜150%程度でも、スポンサーブランド動画広告では200%程度出るケースが多い。聞くべきことは「うちの商材だと、広告効率はどのくらいが目安ですか」。即答できない会社は、そのジャンルの実績がありません。
発注前チェックリスト(7つの質問・そのまま商談に持ち込めます)
- 実際に運用を担当するコンサルタントは誰で、どんな経歴ですか。品質管理者は入りますか
- この金額で、何名体制で支援していただけますか
- 代表の方は、Amazon(または楽天市場)のどの部署で何をされていましたか
- 売上だけでなく、利益・在庫・ブランドの観点でも提案いただけますか
- 広告予算は、金額ではなく売上に対する%(TACOS)で握れますか
- 商品名・カテゴリー・在庫について、触ってよい範囲と承認フローを契約前に決められますか
- うちの商材だと、広告効率はどのくらいが目安ですか
すでに委託している方へ|EC運用代行の実力を確かめる5つの確認ポイント
ここからは、すでにEC運用代行に委託している方向けの内容です。契約前は相手の回答で判断するしかありませんが、発注後は管理画面とレポートという実物で確かめられます。明日すぐ確認できるポイントを5つ挙げます。専門知識は要りません。
確認の原則はどのモールでも共通です。レポートは全体売上で見る/自社の面を競合に取られていないか/無駄な配信を止めているか/露出面に漏れがないか/ページ側の提案が出てくるか。以下は、いちばん確認しやすいAmazonを例に具体的な操作まで書きます。楽天市場・Yahoo!ショッピングでも指標名を読み替えれば同じ確認ができます。
確認1|月次レポートに「TACOS」が入っているか(ACOSだけの報告は要注意)
契約前に「%で握れますか」と確認していても、実際のレポートに反映されているとは限りません。ACOSだけを報告してくる代行会社は要注意です。ACOSは「広告費 ÷ 広告経由売上」、TACOSは「広告費 ÷ アカウント全体売上(自然検索を含む)」。ACOSは広告アカウントの中しか見ていない指標なので、これだけで意思決定すると、アカウント全体の売上を落とす判断になります。同じアカウントでも、見る指標で評価は反転します。
- アカウント全体売上100万円 / うち広告経由40万円 / 自然検索60万円 / 広告費20万円のケース
- ACOS=20万 ÷ 40万 = 50%(広告経由だけで見ると、かなり厳しい水準に見える)
- TACOS=20万 ÷ 100万 = 20%(アカウント全体で見れば利益が出る水準)
月次の確認手順は簡単です。Amazonのビジネスレポートで全体売上を確認し、広告アカウントで同期間の広告費を確認して、割り算するだけ。目標TACOS 20%に対して実績22%なら、徐々に広告を緩める。実績10%なら、10%分の余力がある=売り残している可能性があるので踏み込む——という判断ができます。「ACOSが改善しました」だけを報告してくる会社には、TACOSを出させてください。出せない、あるいは意味を説明できないなら、そのレベルの会社です。
確認2|自社の商品ページに、自社の広告が出ているか(1分でできる最強の確認)
いま自社の商品ページを開いて、下にスクロールしてみてください。関連商品枠に、競合の広告がずらりと並んでいませんか。それは、せっかく自然検索や広告で連れてきた顧客を、自社の商品ページ上で競合に流出させている状態です。対策は簡単で、スポンサープロダクト広告の商品ターゲティングで、自社の商品ページに自社の別商品の広告を出す(商品A・B・Cがあるなら、AをB・Cのページに、BをA・Cのページに)。
自社商品同士は関連性が圧倒的に高いため、CPCが非常に低くなります。1桁台のCPCで出稿できることもある。競合の商品ページに出すよりはるかに安く、自社内で比較検討させるのでCVRも上がります。検索結果の上部に出す「攻めの広告」に対して、これは「守りの広告」です。カラーバリエーション違い、ギフトの本数違いなど、顧客ニーズの近い商品を3〜4つ以上持っている事業者には特に有効です(単品しか扱っていない場合は使えません)。
設定は簡単なのに、意外と実施されていない。だからこそ確認に使えます。自分の商品ページを見て自社広告が出ているか確認し、「これは効果的ですか?」と聞いてみてください。何と答えるかで、その会社の実力がだいたい分かります。
確認3|除外設定は週1回まわっているか/商品ターゲティングの「拡張」はオフか
オートターゲティングは、放っておくと無関係なキーワード・商品に配信されます。検索用語レポートを週1回チェックし、購入につながらないターゲットを除外(ネガティブ)設定するのがルーティンです。たとえばチーズケーキを売っているのに「ワッフル」検索者に配信されている。スイーツという括りでは間違っていませんが、ワッフルを探す人がチーズケーキを買う可能性は低く、競合が人気のワッフルなら自社商品のクリック率まで下がります。部分一致の罠もあります。「靴 夏物」を部分一致で設定すると「靴 冬物」など別の掛け合わせにも配信され、1単語に出稿しているつもりが100語・200語に出稿している状態になります。
見落とされがちな落とし穴が、マニュアルの商品ターゲティング設定画面にある「拡張」ボタンです。ここにはデフォルトでチェックが入っています。外さないと狙った商品以外の類似商品にも大量配信され、広告費が無駄打ちされる。LINKでは原則オフにしています(意図的に使う場合を除く)。ここ2〜3年、広告アカウント内で自動最適化系の機能が増え、意図しない配信が起きやすくなっています。聞くべきことは「除外はどのくらいの頻度で回していますか」「商品ターゲティングの拡張はオフですか」。手を動かしている会社かどうかが、一発で分かります。
確認4|出稿していない広告面はないか(SP/SB/SBV/SD)
スポンサープロダクト(SP)、スポンサーブランド(SB)、スポンサーブランド動画(SBV)、スポンサーディスプレイ(SD)の4メニューを漏れなく設定し、露出面を網羅的に押さえるのが基本です。「効率が悪いから設定しない」は誤り。ターゲティング種別(オート/マニュアル、キーワード/商品、SDのオーディエンス/リターゲティング等)まで細分すると、ざっくり15〜20パターン程度の配信パターンが存在します。効率が悪くなりがちなSBV・SDはCPCを下げ、SPはCPCをしっかり上げる——といった調整で、全体の効率を保ちながらタッチポイントを増やします。聞くべきことは「いま出稿していない広告面はありますか。あるなら、なぜですか」。
確認5|「広告の外」の提案が出てくるか(良い代行会社を分ける最大の分岐点)
広告効率の議論が広告アカウントの中だけで閉じると、必ず限界に突き当たります。数字で示します。商品単価1万円、クリック単価100円。10クリックで1個売れる(CVR 10%)なら、広告費1,000円で売上1万円。ここでサブ画像の改善などでCVRが2倍になれば、同じ広告費1,000円で売上2万円。広告効率は2倍です。入札単価を1円も触っていないのに、効率は倍になる。しかもCVR改善は自然検索経由の顧客にも効くので、広告効率とオーガニック売上の両方が同時に改善します。
だから、良い代行会社は「広告の外」の提案をしてきます。これが出てこない会社は、打ち手を半分しか持っていません。次のような提案が出てくるかを見てください。なお、以下に挙げる数値はLINK株式会社の支援実績に基づく個別事例です(※お客様実績に基づく参考値)。
- メイン画像:CTR・CVRを同時に上げる打ち手として、私たちが最も注力しているのがここです。固定の閾値は持っていませんが、クリック率にも購入率にも効くので、まず画像から着手することが多い。従来の「完全な白背景・商品のみ」という原則は直近ゆるみ、背景要素やアテンションシールを入れたリッチなメイン画像も通るようになっています。単価3,000円程度のスイーツ商品で、メイン画像を変えただけで広告のCTRが2%程度から3%程度に向上した例があります(※商品の横幅を超えるシールは削除されやすく、規制状況も変わるため最新のAmazon公式ガイドラインで確認を)。打ち手の優先順位を語れる会社かの判断材料になります。
- 商品動画:サブ画像枠への動画実装はCVR施策として知られますが、実際には検索順位も大きく上がります。動画実装だけで月商が1.2倍程度になった事例や、月商60万〜70万円程度をうろついていた健康食品メーカーが、実装後に月商100万円程度で安定した事例があります。私たちはコンサルに入るとき、まずサブ画像枠の動画設定を確認します。未設定ならそれ自体が機会損失です。
- レビュー:レビュー数とCVRの関係は、直線的ではなく段階的に変わる印象があります。特に効くのが初期の10件前後で、星の表示は0.5刻みのため、平均評価が4.3に乗ると星4.5表示になりCVRが上向きます。レビュー30件未満の商品ならAmazon Vine 先取りプログラムも選択肢です。登録手数料は登録ユニット数で3区分に分かれ、1〜2ユニットは無料、3〜10ユニットで1万円、11〜30ユニットで2万2,000円(別途、提供する商品の原価がかかります)。区分は後から変更できないため、登録前に必要なレビュー数を決めてください(出典:Amazonセラーセントラル公式 / 2026年時点)。なお、特典や割引と引き換えにレビューを依頼する行為はAmazonの規約違反です。
- バリエーション統合:組めるだけ組んだほうがプラスです。販売個数の評価が親ASIN単位で行われ、レビューも統合されるため。組むだけで月商が1.3倍程度に伸びたケースもあります。ただし統合してもレビューが共有されないことが頻繁にあるので、統合後1〜2時間置いて各子ASINのレビュー件数を確認し、揃っていなければテクニカルサポートに依頼する。依頼すれば一発で解消しますが、依頼しないと放置されます。この手間を代わりにやるのが本来の運用代行です。
- 商品名:ブランド分析の「上位の検索用語(検索頻度ランキング)」を使って商品名を設計しているか。私が商品名を改善するときのメインツールがこれです。感覚的な目安として3桁台(〜999位)は超ビッグワード、4桁台もビッグワード、5桁台はミドルキーワード。商品によりますが、5桁台くらいまでは商品名に入れたい。
Amazonには商品ページの情報量が豊富(リッチ)なほど検索順位が上がるロジックが以前からあり、直近はインセンティブがさらに強まっている印象です。CVR改善は、そのままSEOにも効く。要するに、Amazonは総合格闘技です。「広告の数字が悪いので入札を調整しました」しか言わない会社は、そこで詰んでいます。
EC運用代行のメリット・デメリット|「ノウハウが社内に残らない」への対処法
EC運用代行のメリット3つ|採用費・教育コストなしで組織が安定する
- 専門性をすぐ買える:EC経験者の採用は難易度が高く、育成にも時間がかかる。代行なら来月から動きます。
- 採用費・教育コストが発生せず、組織が安定する:これが最大のメリットです。人を採れば求人費と教育の時間がかかり、辞めればゼロに戻る。代行はこの変動を吸収します。
- 他社事例が入る:100社を見ている会社と自社1社しか見ていない担当者では、打ち手の引き出しが違います。
EC運用代行のデメリット3つと、その現実的な重さ
- 社内にノウハウが残りにくい:最も本質的なデメリット。対処法は次項。
- 外注先に依存する:解約したら回らなくなります。特に管理画面のオーナー権限を代行会社側が持っていると、契約終了時にアカウントごと引き継げないなど、取り返しのつかない事態も起こりえます。
- 認識のズレ:自社の商材・ブランドへの理解が浅いまま施策が走ることがあります。
ノウハウを社内に残す3つの契約上の工夫
- 管理画面のオーナー権限は必ず自社が持つ。代行会社には「ユーザー招待」で権限を渡します。アカウントそのものを代行会社名義で作らせないでください(解約時に何も残りません)。
- 月次レポートに「なぜそうしたか」を書かせる。数値報告だけのレポートには学習効果がありません。「何を仮説にして、何を変えて、結果どうだったか」を書かせると、それがそのまま社内のノウハウ資産になります。
- 自社の担当者を打ち合わせに同席させる。丸投げして報告だけ受ける体制にすると、3年経っても社内は何も分かりません。最低でも月1回、自社の担当者が意思決定に関与する場を作ってください。
EC運用代行の依頼から成果が出るまでの流れと、期間の目安
依頼の流れ(5ステップ)
- ヒアリング・現状診断:売上・原価・広告費・在庫を共有します(NDAを結んだうえで原価まで開示するのが理想)。
- 課題の切り分け:流入・CVR・単価のどこが弱いかを特定します。
- 業務範囲と体制の合意:誰が何をやるか/触ってよい範囲/広告予算は%で握る、を決めます。
- 実行:初期はページ・画像・在庫など「土台」から。広告はその後です。
- 月次で改善:TACOSを見て、緩めるか踏むかを決めます。
成果が出るまでの期間の目安と、「見切る基準」
立ち上げから3ヶ月あるいは半年を「投資フェーズ」と決めておいてください。その期間は原価計算上トントン〜多少の赤字も覚悟して広告費を踏み、セールも打ち続けます。適切な期間は、目指す年商規模や初期投資額で変わります。
広告をこれから始めるなら、オートターゲティングを1〜2週間回す → その期間の売上と広告費からTACOSを算出 → 目標に届かなければクリック単価を上げ、超えすぎていれば10円・20円単位で下げる → 1〜2ヶ月かけて効率の良いキーワードをマニュアルに切り出す、という流れです。判断は1週間単位で。日次で一喜一憂しないでください。
ただし——3〜4ヶ月経っても数字が動かず、しかも「なぜ動かないのか」を説明できない代行会社なら、それ以上待つ意味は薄いと思います。発注者にとって最大の損失は、思ったように売上が上がらないまま時間だけを失うこと。期間の目安は「待つ理由」ではなく、「見切る基準」として持っておいてください。
EC運用代行のよくある質問
EC運用代行の委託を検討している方から、よくいただく質問をまとめました。
- EC運用代行とは何ですか?EC運営代行との違いは?
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EC運用代行とは、ECサイト・ECモールの売上を伸ばす実務(商品ページ改善・広告運用・データ分析・レポート)を外部の専門会社に委託するサービスです。手が足りない部分を埋める作業代行ではなく、「どうすれば売れるか」を設計して実行するところまでを担います。
受注処理・在庫管理・CS・出荷まで含む場合は「EC運営代行」と呼ばれます。ただしこの呼び分けに業界共通の定義はありません。「運営代行」と名乗って広告運用しかしない会社も、「運用代行」と名乗って物流まで担う会社もあります。見積もりは名称ではなく業務範囲表で揃えて比較してください。
- EC運用代行の費用相場はいくらですか?
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委託する範囲で大きく変わります。助言のみのコンサルなら月15万円〜、実行(運用)まで入ると月20万円以上が下限で、中心レンジは月30〜50万円。受注・CS・物流まで含む包括支援になると、月50万〜100万円超になることもあります(出典:LINK株式会社 支援実績データ)。
大事なのは金額の差が「何名がつくか」の差だということです。見積もりを受け取ったら「この金額で何名がつきますか」と必ず確認してください。
- 成果報酬型は危険ではないですか?売上が伸びるほど広告費と報酬で利益が消えると聞きました。
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私は、この一般的な注意喚起は適切ではないと考えています。報酬形態は「固定+成果報酬」の掛け合わせがほとんどで、成果報酬が売上にかかる形でも問題ありません。
問題は成果報酬そのものではなく、広告費比率(TACOS)の上限を握らないまま契約していることです。契約時に「TACOSは◯%を上限とする」と明文化しておけば、広告費が暴走して利益が消えることは防げます。成果報酬の是非を議論するより、広告費比率の上限を握れる相手かどうかを確認してください。
- EC運用代行はどこがいいですか?おすすめの会社を教えてください。
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商材・モール・フェーズで最適解が変わるため、会社名では答えられません。掲載基準が公開されていないランキング記事も多く、順位をそのまま信頼する判断はおすすめしません。
代わりに、次の3つを聞けば候補はかなり絞れます。①実際に運用するのは誰か(品質管理者は入るか)②何名体制か ③広告予算を売上に対する%で握れるか。この3問に具体的に答えられない会社は、候補から外して問題ありません。
- 個人・フリーランスに頼んでも大丈夫ですか?
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費用は抑えられますが、リスクもあります。フリーランスは1社だけでは生活が成り立たないため複数社を掛け持ちしており、能力の高い人ほど案件を多く抱えて対応が遅くなりがちです。1人に依存するリスクもあります。
業務範囲が明確な「回す業務」なら現実的な選択肢ですが、戦略設計や広告運用といった「売る業務」を任せるなら、品質管理者が入る体制のほうが安全です。
- EC運用代行の費用を抑える方法はありますか?
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制作系(画像・動画・撮影)は代行会社を通すと中間マージンが乗るため、直接外注するとコストを抑えられます。クラウドソーシングでサブ画像を渡すだけのスライドショー動画なら2万〜3万円程度、撮影代行なら1万〜2万円程度で100枚近い素材が2週間程度で揃うケースもあります。
「売る業務」は代行に、「作る業務」は直接外注に——この分割発注が、コスト面では合理的です。
- 複数モールを運営しています。1社にまとめるべきですか?
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まず全モールを1社にまとめるほうが効率的です。在庫と商品情報が連携し、レポートの粒度が揃い、窓口も1つで済みます。
ただし支援会社ごとに得意なモールは必ずあるため、まとめた結果、特定のモールだけが伸び悩むことがあります。片方だけ明らかに動かず理由も説明されないなら、そのモールだけ切り出して別の会社に出す判断は合理的です。
- ノウハウが社内に残らないのが不安です。
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契約上の工夫3つで、かなり変わります。
①管理画面のオーナー権限は必ず自社が持つ(代行会社名義でアカウントを作らせない)。②月次レポートに「なぜそうしたか」を書かせる(何を仮説にして、何を変えて、結果どうだったか)。③自社の担当者を打ち合わせに同席させる(最低でも月1回、意思決定に関与する場を作る)。丸投げして報告だけ受ける体制にすると、3年経っても社内には何も残りません。
まとめ|EC運用代行は「誰に頼むか」より「何を任せ、どう確認するか」
EC運用代行を検討するときに、最初にやるべきは会社探しではありません。自社の売上を「流入・CVR・単価」に分解し、どこが弱いかを特定することです。そのうえで、この記事の7つの質問を持って商談に臨んでください。
- EC運用代行とは、ECの「売る業務」(ページ改善・広告・分析)を外部に委託するサービス。受注・CS・物流まで含むなら「運営代行」。ただし業界共通の定義はないため、名称ではなく業務範囲表で確認する。
- 費用はコンサルのみ月15万円〜、運用まで入ると月20万円〜が下限。中心レンジは月30〜50万円で、4名体制なら100万円超も。金額の差は「何名がつくか」の差。
- 外注する前に、自社の課題が流入・CVR・単価のどこにあるかを切り分ける。「人が足りないから全部お願いします」は、最も高くつく発注の仕方。
- 「回す業務」は時給で比較できる(アシスタントは時給1,200〜1,300円程度)。「売る業務」は時給で比較してはいけない。この線引きが、内製と外注の判断軸になる。
- 代行を入れても利益が残らないことがある。原価・広告費・人件費——この3つを先に確認する。
- 広告予算は「金額」ではなく「%」で握る。売上ベースの成果報酬も、TACOSの上限を握れば怖くない。
- 営業担当と実務担当が別人なのは業界では普通。「実際に運用するのは誰か」「何名体制か」を聞き、濁されたら要注意。
- 任せた後も確認する。レポートにTACOSが入っているか、自社の商品ページに自社の広告が出ているか、除外は週1で回っているか——明日すぐ確認できます。
「何を任せるべきか」「今の委託先は妥当か」「内製と外注のどちらが利益が残るか」——この判断は、自社の数字を見ないと決まりません。
LINK株式会社は、元Amazon Japanの知見を持つチームが、現在のアカウントを診断し、任せるべき業務と自社で持つべき業務の線引きまでご提案します。まずは無料相談から。
- アカウント診断(流入・CVR・単価の切り分け)と、原価・広告費・人件費のどこが利益を削っているかの特定
- モールごとの体制と、広告費比率(TACOS)の上限設計までご提案
- 売上向上実績100社以上/売上平均上昇率420%以上/サービス満足度97%以上/1年以上継続率90%以上(LINK株式会社 支援実績データ/※お客様実績に基づく参考値)
- 1案件に対し、パートナー・PM・実行担当の最低3名体制
本記事に登場する売上・CTR・広告効率などの数値は、特記のない限りLINK株式会社の支援実績に基づく個別事例です(※お客様実績に基づく参考値)。商材・カテゴリー・競合状況・実施時期によって結果は変わるため、同等の成果を保証するものではありません。
また、Amazon・楽天市場の仕様・手数料・ガイドラインは変更されることがあります。実施前に各プラットフォームの公式情報で最新の条件をご確認ください。
- 参照した一次情報・公式情報
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- Amazon広告(Amazon Ads)公式サイト(スポンサープロダクト/スポンサーブランド/スポンサーブランド動画/スポンサーディスプレイの広告メニュー)
- Amazonセラーセントラル公式(レビューリクエスト、Amazon Vineの登録手数料区分、在庫管理、商品画像ガイドラインの最新条件)
- フルフィルメント by Amazon(FBA)公式(納品・在庫反映の仕組み)
- LINK株式会社 支援実績データ(売上向上実績100社以上)
- 記事監修
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- 公開日:2026年7月14日 / 最終更新日:2026年7月14日
- 監修:南雲 宏樹(LINK株式会社 代表取締役 / 元Amazon Japan)
- リクルート、Amazon Japan(セラー事業部 コンサルティングチーム)を経てLINK株式会社を創業。LINK株式会社はAmazon公認パートナーで、元楽天ECCも在籍しています。
- 本記事はAmazon公式ヘルプ、およびLINK株式会社の支援実績データを基に作成しました。
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