Amazonの知的財産権侵害の疑いの対処法を5つのケース別に、必要な書類まで元Amazon出身者が解説します。
「正規品なのに『知的財産権侵害の疑い』で出品が消えた……」
「次にもう一度通知が来たら、アカウントごと止まってしまうのでは……」
元Amazon JapanでEC支援に携わってきた私、南雲が、Amazonで知的財産権侵害の疑いが届いたときの対処法を解説します。この通知は、出品を削除しても違反の記録がアカウント健全性ページに残り、繰り返すと停止にもつながります。返し方は、権利者との取引関係と通知の原因によって5つのケースに分かれます。正規品なら、権利者への撤回の依頼か異議申し立てで、通知が誤りだと確定させるのが基本です。本記事では公式ヘルプをもとに、必要書類の要件と停止時の動き方、申告する側のメーカーの注意点まで整理しました。
この記事のまとめ
- 出品を削除しても、アカウント健全性ページの違反は消えません。
- 権利者の有効な通知は重大度「高」で、180日以内に重なると停止に近づきます。
- 返し方は5つのケースで変わり、取引のある権利者なら撤回の依頼が先です。
- 異議申し立ての請求書は、通知前365日以内で販売数量をカバーするものが要ります。
- 並行輸入や独占販売契約を理由にした申告は、日本のAmazonでは承認されません。
- 侵害にあたるかの判断は、弁護士・弁理士に相談しましょう。
まずは、通知が来た時点でアカウントに何が起きているかから見ていきます。
Amazonの「知的財産権侵害の疑い」とは?出品削除とアカウント健全性への影響

通知の正体が分かると、何で返せばよいかと、なぜ急ぐべきかが見えてきます。知的財産権侵害の疑いとは、他者の商標や著作権などを侵害しているとして、出品が止められた状態です。違反はアカウント健全性ページに記録され、停止のリスクを示す評価に響きます。
知的財産権侵害の疑いは、権利者の通知か購入者の報告で届く
通知のもとになるのは、主に権利者からの申告です。申告できるのは、権利者本人か、その代理人に限られます。「知的財産に関する苦情」と呼ばれるのは、この権利者からの申告のことです。
このほか、「権利侵害品や偽造品だ」という購入者からの報告も、同じ重さの違反として扱われます。侵害している自覚がなくても、措置や警告の対象になりえます。正規に仕入れたことは、通知を無視してよい理由にはなりません。
権利者の有効な通知は重大度「高」【180日以内に繰り返すと停止もある】
権利者による有効な権利侵害通知は、アカウント健全性の評価で重大度「高」に分類されます。評価は0〜1,000のスコアで、次の3段階に分かれます。
- 健全:200〜1,000。評価を理由に停止されるリスクはない
- リスクあり:100〜199。停止されるリスクがある
- 不健全:99以下。停止の対象か、すでに停止されている
違反が見つかるたびにスコアが下がり、同じ違反を繰り返すと減点も大きくなります。
より怖いのは、繰り返しの上限です。同じポリシーの違反が180日以内に上限に達すると、停止される可能性があります。重大度の高い違反の上限は、2回までとなる可能性があると公式ヘルプは書いています。上限に達するとスコアは0になり、3日以内に対応しなければ停止です。
出品が止まっている間の損も見逃せません。公開されたロジックではありませんが、支援現場の実感では、検索順位に最も効くのは直近の販売個数です。出品が止まると販売個数が積み上がらず、その分だけ順位を落としやすくなります。対応の遅れは、そのまま売上の損になると考えておきましょう。
出品を削除しても違反は消えない【違反が消えるのは撤回・異議・是正のとき】
出品を終了したり、在庫から削除したりしても、アカウント健全性ページの違反は消えません。「とりあえず出品を消せば終わり」と考えるのは危険です。記録は残り、次の通知が来れば繰り返しとして数えられます。
違反が削除される主なものは、次のとおりです。
- 異議申し立てをして、Amazonが違反は誤りだったと確認したとき
- 申し立てをして、故意ではなく許すべきものと判断されたとき
- 権利者が知的財産侵害の苦情を撤回したとき
- 侵害しているコンテンツの削除など、必要な是正をしたとき
- アカウント健全性ページに追加されてから180日がたったとき
このうち、出品者が自分から動けるのは撤回の依頼・異議申し立て・是正の3つです。どれを選ぶかは、次の章で通知の中身を確かめてから決めます。
知的財産権侵害の疑いの通知の確認方法【権利の種類・対象ASIN・権利者の連絡先の3項目】

通知を受けたら、返事を書く前に3つの項目を確かめましょう。申し立てられた権利の種類、対象のASIN、権利者の連絡先です。通知はアカウント健全性ページとEメールで届きます。
申し立てられた権利の種類で、返し方が変わる【商標・著作権・特許・意匠】
権利の種類によって、異議のときに添えるものが違います。公式の案内を、権利ごとに並べると次のとおりです。
| 申し立てられた権利 | 権利者が申告できる範囲 | 異議のときに添えるもの |
|---|---|---|
| 商標 | ASIN・出品者・商品詳細ページ | 誤りと考える具体的な理由と、真正性を示す請求書か注文番号 |
| 著作権 | ASIN・出品者・画像や文章 | 誤りと考える具体的な理由と、請求書か注文番号 |
| 特許 | ASIN全体 | 誤りと考える具体的な理由 |
| 意匠 | ASIN全体 | 弁護士・弁理士に相談して決める |
商標と著作権は、仕入れの書類で正規品だと示せることが多い権利です。特許と意匠は、商品の形や仕組みそのものが問われます。請求書があっても侵害が否定されるとは限らないため、早めに専門家の見立てを取りましょう。
対象ASINを洗い出し、同じ商品の別ASINに広がっていないかを見る
通知に載ったASINだけでなく、同じ商品を出している別のASINも洗い出しましょう。同じ権利者から続けて通知が来ると、繰り返しとして数えられるおそれがあります。社内で対象ASINの一覧を作り、仕入先と請求書を横に並べておくと、後の異議の準備がそのまま進みます。
複数の警告を受けて正規品だと確信できる場合は、セラーセントラルからまとめて異議申し立てができます。そのときはASINのリストを出すため、この一覧が役に立ちます。
権利者の連絡先と、自社との取引関係を確かめる
権利者の連絡先は、届いた警告に書かれています。まず、その権利者と自社の間に取引関係があるかを確かめましょう。ライセンス契約、製造の委託、販売代理店の契約などです。
取引関係がなければ、仕入れの経路と請求書がそろうかを見ます。この2つの答えで、次の章のどのケースにあたるかが決まります。
知的財産権侵害の疑いの対処法は5つのケースで変わる【取り下げ依頼・異議申し立て・ページ修正の選び方】

どのケースにあたるかは、権利者との取引関係と、通知の原因の2つで決まります。図の問いに左から答えると、自社のケースが分かります。ケースごとに、最初にやることとAmazonに出すものは次のとおりです。
| 対処のケース | 当てはまる状況 | 最初にやること | Amazonに出すもの |
|---|---|---|---|
| ①権利者と取引がある | 正規の卸・ライセンス・製造委託 | 権利者に撤回を依頼する | 撤回は権利者が送る |
| ②正規品だが取引はない | 正規の仕入先から購入 | 請求書をそろえる | 異議申し立てと請求書 |
| ③ページの記載が原因 | 他社ブランド名・画像の使い方 | 商品ページを直す | 直した内容を添えた申し立て |
| ④出品したことがない | 身に覚えのない商品 | 通知に返信する | 出品していない旨の返信 |
| ⑤根拠がそろわない | 書類も取引関係もない | 販売を止めて専門家に相談 | 専門家と方針を決めてから |
表の「撤回の依頼」と「異議申し立て」が、この記事で扱う2つの主な返し方です。撤回の依頼は次の章、異議申し立ての書類はその次の章で詳しく見ていきます。
ケース①権利者と取引関係がある【正規の卸・ライセンス・製造委託なら撤回を依頼する】
権利者と取引関係があるなら、まず権利者に苦情の撤回を依頼しましょう。公式ヘルプが勧めている手順です。権利者が撤回すれば、違反はアカウント健全性ページから削除され、出品も回復できます。
取引先から通知が来るのは、意外に思えるかもしれません。ただ公式ヘルプには、権利者が誤った申告を撤回する手順も用意されています。連絡の手順と依頼文は、次の章で整理します。
ケース②正規品だが権利者と直接の関係はない【請求書を添えて異議申し立て】
正規の仕入先から買った商品なら、請求書を添えて異議申し立てをしましょう。商標と著作権の通知では、誤りと考える具体的な理由と、真正性を示す請求書か注文番号を返します。請求書が満たすべき要件は、異議申し立ての章で詳しく見ます。
通知の理由が、そもそもAmazonで承認されない申告にあたることもあります。公式ヘルプが挙げているのは、次のような申告です。
- 並行輸入品であることを理由にした申告(日本と米国では承認しない)
- 独占販売契約や、最低広告価格(MAP)の契約に違反したという申告
- 互換性や適合性の記載を消してほしいという要求
- 申告した国で登録されていない商標や特許にもとづく申告
通知の理由がこれにあたるなら、その点を具体的な理由として返します。ただし並行輸入品は、通常品とは別のASINで出すのが前提です。販売形態に「JP Parallel Import」を指定します。通常品のASINに出していると、出品を削除されることがあります。法的に侵害かどうかは、ここでは判断しません。
ケース③商品ページの記載が原因【ブランド名・互換品の表記・画像を直してから申し立て】
原因が商品ページの記載なら、ページを直してから申し立てましょう。よくあるのは、次の3つです。
- 他社のブランド名:互換品なのに、他社の商品と同じものに見える書き方をしている
- 既存ASINのブランド名:別の商標で出すのに、既存のASINの商標情報を書き換えている
- 画像:第三者のウェブサイトの写真を、許可なく商品ページに使っている
互換性を正当に主張するなら、「互換品」「代替品」と書くのが公式の案内です。別の商標で出す商品は、既存ASINを編集せず、新しいASINを作ります。
注意したいのは、相乗り出品ではページを自由には直せない点です。商品名や画像を変えられるかは、ブランド登録と出品者の関係で決まります。ブランド登録の承認ユーザーが登録した情報は、テクニカルサポートでも編集できません。相乗りの立場なら、ページを持つブランド側と組んで直す前提で動きましょう。
ケース④一度も出品していない商品への通知【返信して調査を依頼する手順】
一度も出品したことがない商品への通知なら、その旨を通知に返信しましょう。Amazonが調査します。身に覚えがないからと放置すると、記録だけが残ります。返信は早めに済ませておきましょう。
ケース⑤侵害していない根拠をそろえられない【販売を止めて弁護士・弁理士に相談する】
取引関係も請求書もなく、侵害していないと示せないなら、まず販売を止めましょう。そのうえで、弁護士か弁理士に相談します。特に特許と意匠は、出品の前に専門家へ相談するよう公式ヘルプも案内しています。
このケースで、謝罪の文面だけを返すのは避けましょう。何を直し、どう防ぐかを示さなければ、通知への答えになりません。相談先の分け方は、記事の後半で整理します。
権利者に申し立ての取り下げ(撤回)を依頼する手順と連絡文の書き方

撤回の依頼は、連絡先の確認、依頼文の送付、返答への対応の3段階で進めます。撤回そのものは出品者ではなく、権利者からAmazonへ送られます。出品者の役目は、権利者が撤回できるだけの事実を示すことです。
連絡先は通知に記載されている【誰が、どの立場で連絡するか】
連絡は、警告に書かれた権利者の連絡先へ送りましょう。取引先の担当窓口が別にあるなら、そちらにも同じ内容を伝えておくと話が早く進みます。社内では、誰がどの立場で連絡するかを先に決めておきましょう。
卸を通して仕入れているなら、卸元にも状況を共有しましょう。権利者との取引関係を示す書類は、卸の側が持っていることがあるためです。
撤回の依頼文に入れる主な要素【事実・取引関係・対象ASIN・依頼内容】
依頼文は、感情的な反論ではなく、事実だけで組み立てましょう。入れておきたい主な要素は次の4つです。
- 事実:いつ、どの通知を受け、どの出品が止まったか
- 取引関係:契約の種類と、それを示す契約書や請求書
- 対象ASIN:通知に載ったASINと、同じ商品の別ASIN
- 依頼内容:Amazonへ苦情の撤回を送ってほしいこと
撤回が難しいと言われたら、権利者から認可書(LOA)をもらう道もあります。LOAは、権利者が商標などの使用を認めたことを示す書面で、異議申し立ての書類に使えます。書面の要件は次の章で見ます。
返信がない・断られたときの次の手【異議申し立てへ切り替える判断】
返信を待つ期限は、自社で区切っておきましょう。待っている間も、違反の記録は残ったままです。期限までに返信がなければ、請求書をそろえて異議申し立てに切り替えます。
権利者から損害賠償を求められたり、警告書が届いたりしたら、話は法的な争いに近づいています。その段階では自社だけでやり取りを続けず、弁護士に相談しましょう。
異議申し立ての方法と必要書類【請求書の要件・認可書(LOA)・改善計画書】

異議申し立てで使う書類は、主に請求書、認可書(LOA)、改善計画書の3つです。それぞれ証明できることが違うため、ケースに合うものを選びます。まずは、似た言葉の「申し立て」との違いから押さえましょう。
「申し立て」と「異議申し立て」の違い【正規品なら異議で誤りを確定させる】
異議申し立ては、違反が誤って検出された証拠を出す手続きです。一方の申し立ては、違反はあったが故意ではなく、許すべきものだと伝える手続きです。どちらも認められれば、違反とその影響は取り消されます。
差が出るのは、その後です。申し立てで削除された違反は、異議をしていなければ、180日以内は繰り返しの上限に数えられることがあります。正規品なら、異議申し立てで「誤り」を確定させるほうが、次の通知に備えられます。
請求書の要件と、受け付けられない書類【通知前365日以内・販売数量をカバー】
異議に添える請求書には、主に次の要件があります。
- パフォーマンス通知を受け取る前の365日以内に発行されている
- 過去365日間の各ASINの販売数量と、手持ちの在庫をカバーする数量がある
- 対象の各ASINの販売記録がある(対象の商品は強調表示してよい)
- 商品名・型番・UPCなど、分かりやすい製品コードが書かれている
- 仕入先の名前、電話番号、住所、ウェブサイトなどの連絡先がある
- 完了した取引のもので、正本を改変せずPDFか画像で出す(価格は消してよい)
見積書や仮の送り状、取引が終わる前の書類は受け付けられません。自社で発行したものや、ExcelやWordのように編集できる形式も同じです。仕入先には、公的な情報源などで確かめられるウェブ上の情報が必要です。Amazonが仕入先に連絡することもあるため、卸には事前に一声かけておきましょう。
認可書(LOA)の5項目と、Eメールの扱い【転送メールは使えない】
認可書(LOA)には、次の5項目が必要です。許諾者、被許諾者、付与内容、地理的範囲、期間です。レターヘッドと、承認された署名者による署名か社印なども求められます。
迷いやすいのが、Eメールの扱いです。知的財産権ポリシーの異議では、Eメールの転送は権限付与の書面として使えません。一方でLOAのヘルプは、権利者の企業ドメインから送られたEメールのスクリーンショットを受理できる形式に挙げています。転送したメールと、元のメールの画面を写したものは別物と考えましょう。
また、請求書や販売権の契約書、納品書は、LOAとしては受理されません。許諾を示すには、権利者が出す書面が必要です。
改善計画書は謝罪文ではない【知財の案件で書く中身】
改善計画書を、謝罪の言葉で埋めないようにしましょう。知財の案件で問われるのは、次の3点です。
- どの仕入れ経路、どの記載が原因だったか
- 商品ページや在庫を、何をどう直したか
- 仕入れ前と出品前の確認を、どう変えたか
3点目の確認の中身は、予防策の章で具体的に挙げます。
※改善計画書の共通の型と書き方はAmazon出品停止の原因4系統と、改善計画書で解除する方法もどうぞ。
アカウントが停止されたとき・却下が続くときの対処法

停止の前と後で、取れる手が変わります。停止の前なら3日の猶予があり、停止の後はスコアを100以上に戻すことが再開の条件です。却下されたときの立て直し方とあわせて見ていきます。
スコアが0になってから停止まで3日の猶予がある【停止後は申し立てで再開を目指す】
繰り返しの上限に達すると、スコアは0になり、停止の前に3日間の猶予が与えられます。偽造品と判定されるなどの重大な違反でも同じです。猶予の間に、アカウント健全性スペシャリストから電話が来ます。緊急連絡先の電話番号は、通知設定でいまのうちに最新にしておきましょう。
3日以内に対応しなければ、申し立ての送信を終えるまでアカウントは停止されます。申し立ての窓口として、公式ヘルプは次の2つを案内しています。
- アカウント健全性ページ上部のバナーの案内に沿って、「商品規約の遵守」ダッシュボードから送る
- 停止通知に返信する(知的財産権ポリシーの案内)
申し立てや異議が認められ、スコアが100以上に戻れば再開です。
なお、評価が原因で停止されたアカウントの違反は、180日がたっても消えません。停止中の売上金やFBA在庫の扱いは、前の章で紹介した出品停止の記事で確かめましょう。
却下されたら理由を読み、書類を差し替える【却下の型は1つに決めつけない】
異議が却下されたら、まずパフォーマンス通知で受け付けられなかった理由を確かめましょう。理由が分かれば、差し替える書類も決まります。請求書の日付が古い、数量が足りない、仕入先の情報が欠けている、といった具合です。
私たちが出品規制の解除申請を手伝う場面でも、却下の型はトラブルの種別ごとに分かれます。「よくある型」を1つに決めつけず、却下の理由ごとに詰めていくのが実態です。通すために効くのは裏ワザではなく、正規の書類を積み上げてやり取りを重ねることです。知財の異議でも、この姿勢は変わりません。
大口出品者はアカウント健全性サポートに相談できる
大口出品者なら、アカウント健全性サポートチームに相談できます。公式ヘルプによると、アカウント健全性ページの「お問い合わせ/今すぐ電話がほしい」ボタンが窓口です。大口出品者でない場合は、Amazon出品大学とセラーフォーラムの資料を使うよう案内されています。
知的財産権侵害の疑いを再発させない予防策【仕入れ前・出品前・運用中のチェック】

再発を防ぐ確認は、仕入れ前、出品前、運用中の3段階に分けて入れましょう。段階ごとに見る場所が違います。ここで決めた確認の手順は、そのまま改善計画書の再発防止策になります。
仕入れ前:仕入先の正規性を確かめ、書類を契約でそろえる
仕入れる前に、仕入先がブランドの認定販売業者かを確かめましょう。Amazonのヘルプが挙げる確認は、次のとおりです。
- 仕入先とブランドの関係を確かめ、認定販売業者かを見る
- 認可書や請求書を出してもらえるかを、取引の前に聞く
- ブランドに直接連絡して、認可書が本物かを確かめる
- 真正性の苦情が来たときに、仕入先が責任を負うことを契約に書く
請求書は、異議の要件を満たす形で発行してもらう段取りにしておきましょう。製品コードと仕入先の連絡先が入っていれば、通知が来てから慌てずに済みます。
出品前:既存ASINのブランド名・互換品の表記・画像の出所を確認する
出品する前に、ブランド名と画像の扱いを確かめましょう。商品詳細ページの規則が定める主なルールは、次の2つです。
- 既存ASINの商標情報は変えない。別の商標なら新しいASINを作る
- ノーブランド品を、商標登録された商品のASINで出さない
この2つは、相乗りで出品するときに特に踏みやすいルールです。
Amazonがブランド名の変更に厳しいのには、経緯があります。私たちが見てきた範囲では、ある手口が出回った時期がありました。評価が下がった商品のブランド名と画像を差し替え、同じASINで売り直す手口です。その後、Amazonはブランド名の変更を禁じる方向に動いています。既存のASINに乗るなら、ページの中身には手を付けない前提で考えましょう。
画像は、自社で撮影したものか、使用の許諾を得たものだけを使います。私たちが画像を作るときも、まず規約に違反しないことと、実際の商品の見た目と合っていることを大前提にしています。互換品なら、商品名や説明文に「互換品」「代替品」と明記しましょう。
運用中:アカウント健全性ページを定期的に見る担当を決める
アカウント健全性ページは、見る担当者と頻度を決めて、定期的に確かめましょう。公式ヘルプも、このページを定期的にチェックするよう勧めています。違反は追加から180日残り、繰り返した違反にはラベルが付きます。
あわせて、通知を受けたら誰に回すかも社内で決めておきます。仕入れの担当、商品ページの担当、法務の窓口です。3日の猶予は、回す先を探しているうちに過ぎてしまいます。
自社の権利を侵害されたときの申告方法と注意点【正規販売店を誤って申告したときの撤回も】

ここからは、通知を送る側のメーカーに向けた内容です。申告できるのは、権利者とその登録代理人です。ブランド登録していればブランド登録の管理画面から、していなければ知的財産権の侵害の報告フォームから申告します。どちらもAmazonアカウントへのログインが必要です。
※申告の窓口や証拠のそろえ方はAmazonで転売を通報する4つの窓口と、通らない申告の見分け方もどうぞ。
申告の前に、通らない申告と送信権限を失うリスクを確かめる
申告の前に、それがAmazonで承認される申告かを確かめましょう。並行輸入品や独占販売契約などを理由にした申告は、ケース②で挙げたとおり承認されません。取引上の問題は、当事者どうしで話し合うことになります。
不正確な通知や虚偽の通知を何度も送ると、通知を送る権限を取り消されることがあります。侵害していない販売業者への繰り返しの報告は、通知の濫用として扱われます。1件の通知に、複数の権利の種類や2つの商標番号を混ぜないことも求められています。
※ブランド登録の費用と手順はAmazonブランド登録の費用と期間は?申請3ステップまで解説もどうぞ。
正規販売店を誤って申告したら、撤回は報告フォームから送らない
誤って申告したときの撤回は、報告フォームやブランド登録の画面から送らないでください。公式ヘルプによると、関係する当事者から知らされたEメールの窓口を使って、Amazonに伝えることができます。
有効な通知を送ると、権利者の予備の連絡先が、責任を負う出品者に共有されます。予備の連絡先がなければ、主な連絡先が共有されます。予備の連絡先は、取引先からの問い合わせを受けられる窓口にしておきましょう。
弁護士・弁理士と運用支援会社への相談の分け方【法的判断と運用の切り分け】

侵害にあたるかの判断は専門家に、運用の立て直しは社内と支援会社で進めます。Amazonのヘルプ自体が、法的なアドバイスではないと断ったうえで、法律の専門家への相談を勧めています。
侵害にあたるかの判断は弁護士・弁理士に相談する【相談を急ぐべきサイン】
次のサインがあれば、早めに弁護士か弁理士に相談しましょう。
- 特許か意匠の侵害として通知された
- 侵害していない根拠をそろえられない(ケース⑤)
- 権利者から警告書や損害賠償の請求が届いた
- 同じ権利者から、通知が繰り返し届いている
相談の際は、対象ASINの一覧、仕入れの書類、届いた通知をまとめて持っていきましょう。どちらに相談するかの目安は、よくある質問で整理しています。
商品ページの修正・アカウント健全性の監視・再発防止は運用の仕事【外部に任せるときの確認】
商品ページの修正、アカウント健全性の監視、再発防止の体制づくりは、運用の側で持つ仕事です。撤回の依頼や異議の送付は、権利関係の当事者である自社が行います。外部の運用支援会社と組めるのは、その周りの立て直しです。
外部に任せる場合も、社内に1名は残すべき人がいます。外部の提案を批判的に受け止めて指示を出せて、自社商品の仕入れ経路や権利関係を正確に伝えられる人です。実務を回せる必要はありません。知財の通知では、この人がいないと事実の確認で手が止まります。
契約の前には、実際に誰が実務を担当するのかも確かめましょう。営業の担当者と、運用を担う担当者が別の人であることはよくあります。ここを質問してあいまいな答えが返ってきたら、慎重に考えたほうがよいサインです。
Amazonの知的財産権侵害の疑いに関するよくある質問
- 謝罪文(改善計画書)は必ず出す必要がありますか?
ケースによります。権利者の撤回や、出品していない旨の返信で片づくケースでは、改善計画書の出番はありません。
改善計画書が要るときも、謝罪だけの文面では足りません。原因、直したこと、確認の変え方を事実で書きましょう。
- 出品を削除すれば、知的財産権侵害の疑いは消えますか?
消えません。出品の終了や在庫からの削除では、アカウント健全性ページの違反は削除されません。
消えるのは、異議や申し立てが認められたとき、権利者が撤回したとき、是正したとき、追加から180日たったときなどです。
- 同じ権利者から2回目の通知が来たら、アカウントは停止されますか?
停止される可能性があります。重大度の高い違反は、180日以内の繰り返しの上限が2回までとなる可能性があります。
上限に達すると、スコアが0になり3日の猶予に入ります。1回目の通知から、異議や撤回で記録を消しておきましょう。
- 並行輸入品を理由に申し立てられた場合はどうなりますか?
日本のAmazonでは、並行輸入品であることを理由にした申告は承認されません。そのことを具体的な理由として返しましょう。
ただし並行輸入品は、「JP Parallel Import」を指定して通常品とは別のASINで出すのが前提です。カテゴリーによっては出品できない場合もあります。
- 権利者に連絡しても返信がない場合はどうすればよいですか?
自社で決めた期限を過ぎたら、異議申し立てに切り替えましょう。待っている間も違反の記録は残ります。
正規の仕入れなら、要件を満たす請求書を添えて異議を出せます。
- 小口出品でもアカウント健全性サポートに相談できますか?
アカウント健全性サポートチームへの相談は、大口出品者向けの案内です。
大口出品者でない場合は、Amazon出品大学とセラーフォーラムの資料を使うよう公式ヘルプが案内しています。
- 弁護士と弁理士のどちらに相談すればよいですか?
権利者との交渉や訴訟に進みそうなら、弁護士が窓口になります。日本弁護士連合会は、弁護士の仕事として法律相談、示談交渉、訴訟活動などを挙げています。
弁理士は、特許や商標などの出願を特許庁へ代理するのが主な仕事です。日本弁理士会は、他社の権利を侵害しているかの相談も業務に挙げています。侵害訴訟には、補佐人として、または一定の要件のもとで弁護士と共同で関わります。
- 知的財産権の申し立てが多いメーカーの一覧はありますか?
一覧に頼るより、仕入れる商品ごとに確かめるほうが確実です。申告するかどうかは、権利者の方針で変わります。
仕入れの前に、仕入先が認定販売業者か、請求書や認可書を出してもらえるかを確かめましょう。
まとめ:知的財産権侵害の疑いは、出品を消さずにケースを見分けて返す
知的財産権侵害の疑いは、出品を削除しても記録が残ります。通知の3項目を確かめ、5つのケースのどれかを見分けてから返しましょう。正規品なら、撤回の依頼か異議申し立てで「誤り」を確定させるのが基本です。
侵害にあたるかの判断は弁護士・弁理士に任せ、仕入れ前と出品前の確認で再発を防ぎましょう。
LINKのEC支援サービスは、動画でも紹介しています。
- 参照した一次情報・公式情報
- セラーセントラル ヘルプ「Amazon知的財産権ポリシー」
- セラーセントラル ヘルプ「アカウント健全性の評価」
- セラーセントラル ヘルプ「アカウント健全性の評価プログラムポリシー」
- セラーセントラル ヘルプ「ポリシー違反の申し立てに関する請求書の要件」
- セラーセントラル ヘルプ「認可書(LOA)」
- セラーセントラル ヘルプ「知的財産権の権利所有者および登録代理人」
- セラーセントラル ヘルプ「並行輸入品」
- セラーセントラル ヘルプ「商品詳細ページの規則」
- セラーセントラル ヘルプ「デューディリジェンスで信頼できる仕入先を選択する」
- 日本弁理士会「弁理士とは」
- 日本弁護士連合会「弁護士の使命と役割」
いずれも2026年10月9日に確認しました。
- 記事監修
- 公開日:2026年10月13日 / 最終更新日:2026年10月13日
- 監修:南雲 宏樹(LINK株式会社 代表取締役 / 元Amazon Japan)
- 本記事はAmazonセラーセントラルの公式ヘルプと士業団体の公開情報、およびLINK株式会社の支援実績データを基に作成しました。
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