Amazonの値崩れ対策を原因5つで整理し、相乗り・卸先流出・類似品への打ち手を元Amazon出身者が解説します。
「見覚えのない出品者に、カートを安値で取られている……」
「卸先の安売りか、中国の出品者か分からない……」
元Amazon JapanでEC支援に携わってきた私、南雲が、Amazonの値崩れ対策を解説します。値崩れ対策の出発点は、誰が価格を下げたかを見分けることで、原因を見ずに値下げで対抗すると、先に利益が尽きかねません。同じ商品ページの他社の出品はブランド登録と報告、卸先は販路の基準、中国セラーなどの類似品は価格以外の価値で守ります。本記事では、原因5つの見分け方と、独占禁止法の範囲で取れる打ち手を法人向けに整理しました。読み終えるころには、自社の値崩れがどの原因に当たり、何から手を付けるべきかを判断できるはずです。
この記事のまとめ
- 値崩れの原因は5つあり、誰が価格を下げたかで打ち手が変わります。
- 相乗り(同じ商品ページに別の出品者が出品すること)は、ブランド登録が守りの土台です。偽造品は報告で止められますが、真正品の転売は販路側で止めます。
- 卸先にAmazonでの販売価格を守らせることは、原則として独占禁止法違反です。取引先を選ぶ基準は、品質と売り方で決めます。
- 中国セラーなどの類似品には値下げで対抗せず、下限価格を決めて価格以外の価値で守ります。
- 自社の値下げが起点なら、価格の自動設定に下限価格を入れ、セールは時期を絞って打ちます。
- 自社の欠品中は、おすすめ出品(カートボックス。「カートに入れる」ボタンから買われる出品)が相乗り出品者に渡ります。在庫を切らさないことも予防策です。
Amazonの値崩れとは?起きる仕組みと放置したときの3つの影響
Amazonの値崩れとは、販売価格が短期間で大きく下がり、元の水準に戻らなくなる状態です。
放置すると、利益だけでなく卸先との関係やブランドまで傷みます。まずは値崩れが起きる仕組みを押さえ、そのうえで放置したときの影響を見ていきます。
値崩れの仕組み【同じ商品ページで出品者がカートを取り合う】

値崩れの多くは、同じ商品ページでカートを取り合うことから始まります。
Amazonでは、1つの商品に1つの商品ページが基本です。同じページには、複数の出品者が相乗りで出品できます。カート以外の出品は、出品一覧から選ばれない限り買われません。そのため、注文はカートを取った出品者に集まりやすくなります。
カートの選定では、価格が重要な要素の一つです。そのため出品者同士が少しずつ価格を下げ、下げ合いが起きやすくなります。価格の自動設定を使う出品者同士が反応し合うと、短期間で下落が続くこともあります。
一方で、別の商品ページに並ぶ類似品が原因の値崩れもあります。こちらは仕組みが違うため、原因を5つに分ける章で別に扱います。
放置すると利益・卸先との関係・ブランドの3つが傷む
値崩れを放置すると、利益、卸先との関係、ブランドの3つが傷みます。
1つ目は利益です。自社がカートを取り戻そうと価格を合わせると、その分だけ粗利が削られます。
2つ目は卸先との関係です。店頭や卸の価格よりAmazonが安いと、正規の取引先から不満が出ます。取扱をやめられるきっかけにもなります。
3つ目はブランドです。「いつも安い商品」と覚えられると、元の価格では買われにくくなります。偽造品が原因なら、低評価のレビューが自社の商品ページに付くこともあります。
この3つの影響は、どの原因で起きた値崩れでも共通です。ただし止め方は原因ごとに違います。そこで次の章で、原因を5つに分けて整理します。
Amazonで値崩れが起きる5つの原因【誰が価格を下げているかで分ける】

Amazonの値崩れの原因は、誰が価格を下げているかで5つに分かれます。
①から③は自社と同じ商品ページで起き、④は別の商品ページで起きます。⑤は自社の運用が引き金になるケースです。表で全体を見てから、1つずつ確認しましょう。
| 値崩れの原因 | 価格が下がる場所 | 見分ける手がかり | 主な打ち手 |
|---|---|---|---|
| ①偽造品・模倣品の相乗り | 自社の商品ページ | 見覚えのない出品者、海外からの発送、極端な安値 | ブランド登録と権利侵害の報告 |
| ②真正品の転売・並行輸入品の相乗り | 自社の商品ページ | 国内の業者や並行輸入の業者が、本物を安く出品 | 仕入れ元をたどる、出品状態の違反を報告 |
| ③卸先・代理店から流れた在庫 | 自社の商品ページ | 出品者名や住所が、卸先の法人と一致する | 品質と売り方の基準で販路を管理する |
| ④中国セラーなどの類似品・互換品 | 別の商品ページ | 自社の価格は同じなのに、アクセスが減る | 下限価格を決め、価格以外の価値で選ばれる |
| ⑤自社の値下げ・セール・価格の自動設定 | 自社の商品ページ | 自社の値下げやセールの直後に、相乗りの価格が下がる | 出品価格の下限の設定とセールの運用ルール |
①②の打ち手は相乗り対策の章、③は卸先の章で解説します。④は類似品の章、⑤は自社の値下げの章で扱います。
同じ商品ページに相乗りした出品者が下げている【①偽造品・模倣品 ②真正品の転売・並行輸入品】
相乗り出品者が価格を下げている場合は、まず商品が偽造品か真正品かを見ます。
偽造品・模倣品なら、商標権の侵害として報告できます。どちらかは、次の手がかりで見当を付けられます。
海外からの発送、極端な安値、届くまでの日数が長い出品は、偽造品を疑う手がかりです。ただし、これだけで偽造品と決めつけることはできません。中国セラーなど海外の出品者が、真正品を扱っている場合もあるためです。
真正品の転売は、国内の小売店のセールで仕入れた商品などが典型です。並行輸入品は、海外で正規に流通した商品を輸入したものです。
自社の卸先・代理店から流れた在庫が安く出ている【③】
自社の卸先や代理店から流れた在庫が、Amazonで安く出品されることもあります。
卸先が自らAmazonに出品するケースと、卸先から二次卸や在庫処分の業者へ流れるケースがあります。安く仕入れた在庫ほど、安値でも利益が残るため価格を下げやすくなります。この原因は報告では止められず、販路の管理で対処します。
中国セラーなどの類似品・互換品が別の商品ページで安く並んでいる【④】
中国セラーなどの類似品は、自社の商品ページではなく、別の商品ページで安く並びます。
自社のページの価格は下がっていないのに、検索結果で比べられて売れなくなります。別の商品なので、報告で消せるのは権利の侵害がある場合に限られます。価格以外で選ばれる理由を作る対策が中心です。
自社の値下げ・セール・価格の自動設定が引き金になっている【⑤】
見落としやすいのが、自社の値下げやセールが引き金になるケースです。
自社が価格を下げると、相乗り出品者の自動設定が反応して追いかけてくることがあります。セールが終わっても、相乗り出品者の価格が下がったまま残ることがあります。値引きが常態化すると、購入者にとってもその価格が普通になります。
5つのどれに当たるかで、打ち手は変わります。次は、自社の値崩れがどの原因かを見分ける手順を見ていきます。
値崩れの原因を見分ける3つの確認【出品者一覧・価格推移・売上の内訳】

自社の値崩れがどの原因かは、出品者一覧、価格推移、売上の内訳の3つで確かめます。
確認1で①②③、確認2で⑤、確認3で④の手がかりが得られます(確認3は①②③の裏付けにもなります)。上から順に見ていくと、原因を絞り込めます。
出品者一覧と出品者の情報ページで誰が出品しているかを確認する
まず、自社の商品ページの出品者一覧で、誰が出品しているかを確認しましょう。
商品ページにある他の出品者の一覧から、同じ商品の出品者と価格を見られます。出品者名を押すと、出品者の情報ページが開きます。大口出品者や法人の出品者なら、販売業者名や住所が載っています。
表示された名称や住所を、自社の卸先の一覧と照らし合わせます。卸先の法人名と一致すれば③です。海外の住所なら①を視野に入れ、国内の業者で卸先と関係がなければ②を疑います。
Keepaの価格推移で、いつ・何をきっかけに下がったかを確かめる
次に、Keepaの価格推移で、いつ価格が下がったかを確かめましょう。
Keepaは、Amazonの商品の価格推移をグラフで確認できるツールです。価格のグラフは無料で見られ、詳しい機能は有料です。私たちも拡張機能を入れ、商品ページ上で価格推移を追っています。
見るのは、価格が下がった時期と、出品者数が増えた時期が重なるかです。重なっていれば、新しい相乗り出品者が引き金の可能性が高くなります。自社のセールや値下げの直後に下がっていれば、⑤を疑います。
ただし、ツールの表示と実画面は、表示のタイミングや閲覧環境でずれることがあります。私たちも、気になる数字が出たときはシークレットウィンドウで実際の画面を確かめています。
※Keepaの見方や料金から確認したい方はAmazon Keepaとは?グラフの見方と料金、競合分析への使い方もどうぞ。
ビジネスレポートで、おすすめ出品の獲得率とセッションのどちらが落ちたかを見る
最後に、ビジネスレポートで、売上が落ちたときにどの数字が動いたかを確かめましょう。
ビジネスレポートは、セラーセントラルで見られる売上とアクセスの報告書です。売上は、セッション×CVR×平均単価に分けて考えます。セッションは商品ページへの訪問数です。CVR(ここではユニットセッション率)は、訪問のうち購入に至った割合です。
値崩れの原因を見分けるうえで効くのは、次の2つです。どちらが落ちたかで、疑う原因が変わります。
- おすすめ出品の獲得率(カート獲得率)が落ちた:相乗り出品者にカートを取られている。①②③を疑う
- セッションが落ちた:類似品に検索結果で負けている可能性がある。④を疑う
判断は、単月の上下だけで決めないことです。以前と比べて売上の水準が変わったかで見ると、一時的なぶれに振り回されません。
3つの確認で原因が絞れたら、原因に合う打ち手に進みます。
値崩れの原因が、相乗りなのか卸先なのか判断がつかない方へ。
LINK株式会社では、Amazonの出品状況と売上の数字を横断して確認します。
- 出品者一覧と価格推移から見た、値崩れの原因の切り分け
- おすすめ出品の獲得率とセッションの動きの読み解き
- 原因に合う打ち手の優先順位づけ
売上向上実績100社以上、サービス満足度97%以上です(※お客様実績に基づく参考値)。無料相談にて、自社の値崩れが5つの原因のどれに当たるかを、出品状況を見ながら一緒に整理します。
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相乗りによる値崩れの対策【偽造品と真正品で使える手段が違う】

相乗りによる値崩れ(原因①②)は、偽造品か真正品かで使える手段が違います。
まず土台のブランド登録を整え、次に原因①、原因②の順に対処します。最後に、自社の欠品で相乗り出品者にカートを渡さない予防策を押さえます。
相乗り対策の土台になるブランド登録で、編集権限と報告の窓口を持つ
相乗り対策の土台は、ブランド登録です。
ブランド登録は無料のプログラムで、商標を持つブランドの権利者が登録できます。登録済みの商標のほか、出願中の商標でも申請できます(出典:Amazon Brand Registry)。
登録の大きな利点は、商品ページを作成・更新提案できる出品者が、ブランドと関連付けられた出品者に限られることです。相乗りしている出品者の立場では、サブ画像や商品紹介コンテンツ(A+)など、ページの主な要素を変えられません。登録すれば、ページの中身を自社の管理下に置きやすくなります。
あわせて、権利侵害を報告する専用のツールも使えるようになります。原因①への対処は、この報告の窓口から始まります。
※申請の手順や期間から確認したい方はAmazonブランド登録の費用と期間は?申請3ステップまで解説もどうぞ。
偽造品・模倣品は違反報告・Project Zero・Transparencyで止める【原因①】
偽造品・模倣品の相乗りは、違反の報告で出品を止められます。
偽造品と真正品で、使える手段がどう違うかを表にまとめました。自社の相乗りがどの行に当たるかを確認してください。
| 相乗りの商品 | 商標権で出品を止められるか | 使える主な手段 | 自社がやること |
|---|---|---|---|
| 偽造品・模倣品(原因①) | 止められる(商標権の侵害) | 権利侵害の報告、Project Zero、Transparency、税関の輸入差止申立て | 現物と証拠をそろえて報告する |
| 真正品の転売(原因②) | 原則として止められない | 出品状態の違反の報告、販路の見直し | 仕入れ元をたどる |
| 並行輸入品(原因②) | 条件を満たす真正品は止められない | 条件を欠く場合は権利侵害として検討 | 品質の差などを弁護士と確認する |
Amazon公式サイト、税関、最高裁判所の判決をもとに作成。確認日は2026年9月29日です。
報告の中心は、ブランド登録で使える権利侵害の報告ツールです。偽造品と確認できた出品を、商標権の侵害として報告します。報告のほかに、次の手段があります。
- Project Zero:模倣品の出品を、自社で直ちに削除できるプログラムです。条件は、登録商標の権利者で、過去6ヶ月の報告の承認率が90%以上であることです。続けるには99%以上の精度が必要です(出典:Amazon Project Zero)。
- Transparency:スキャンできる固有のコードを商品に付け、模倣品の出品や販売を防ぐプログラムです。コードには料金がかかり、数量に応じた割引がある場合があります。
- 税関への輸入差止申立て:海外から偽造品が持ち込まれているときの選択肢です。商標権などの権利者が、侵害品の輸入を止めるよう税関に申し立てます(出典:税関「輸入差止申立て制度の概要」)。
報告や申し立ては、正規の窓口で進めます。私たちが出品規制の解除などでAmazonとやり取りするときも、要点はテクニカルサポートと粘り強く連絡を重ねることです。証拠をそろえ、却下されても不足を補って出し直します。
※ 問い合わせ方はAmazonテクニカルサポートの受付時間は9時〜21時|電話番号なしで問い合わせる方法で解説しています。
ただし、偽造品と確認できていない出品を、偽造品として報告してはいけません。事実と違う報告は、自社のアカウントのリスクになります。
※通報の窓口ごとの違いから確認したい方はAmazonで転売を通報する4つの窓口と、通らない申告の見分け方もどうぞ。
真正品の転売・並行輸入品は販路の見直しとコンディション違反の報告で対処する【原因②】
真正品の転売や並行輸入品は、報告だけでは止められない場合があります。
国内で正規に販売された商品の転売は、原則として商標権の侵害に当たりません。並行輸入品も、一定の条件を満たせば侵害にならないと判断されています。海外で正規に付けられた商標で、品質に実質的な差がないことなどが条件です(最高裁 平成15年2月27日判決)。
一方で、出品の状態(コンディション)に違反があれば、報告できる場合があります。コンディションガイドラインでは、新品は未開封・未使用で、付属品がすべてそろった商品に限られます。個人から仕入れた商品も、新品としては出品できません。
根本の対策は、転売の仕入れ元をたどることです。
- 仕入れ元が自社の卸先なら、原因③の販路管理につなげる
- 自社の直販のセールが仕入れ元なら、原因⑤のセールの運用を見直す
在庫切れでカートを相乗り出品者に渡さないための在庫の目安

自社の在庫が切れると、その間のカートは相乗り出品者に渡ります。
在庫切れは、Amazon運用でいちばん避けたい事態です。在庫がない間は販売が止まるうえ、支援現場の実感では、在庫切れ自体が検索順位に響き、一度落ちた順位はなかなか戻りません。在庫の持ち方は、支援現場で基本にしている次の3つを目安にしましょう。
- 直近の販売ペースで2ヶ月分程度をFBA(Amazonの倉庫に在庫を預けて配送まで任せる仕組み)に入れておく
- 残りが1ヶ月分程度になったら、追加で納品する
- 成長期は過去の平均で発注すると欠品しやすいため、週に1回は向こう1ヶ月の販売見込みを更新する
※発注点の計算から確認したい方はAmazon在庫管理の完全ガイド!在庫切れゼロ・IPI改善・発注点計算までもどうぞ。
上級の方法として、同じ商品にFBA用と自社出荷用の2つのSKUを登録する手もあります。SKUは、出品者が付ける在庫の管理番号です。FBAの在庫が切れても自社出荷の出品がカートの候補に残るため、空白を作りにくくなります。
ただし支援現場の実感では、自社出荷に切り替わった間はプライムマークが外れ、CVRや検索順位が下がる傾向があります。出荷と在庫の管理体制が整っていることが前提です。
相乗り出品者に、カートや商品ページを握られていませんか。
LINK株式会社では、ブランド登録の状況から在庫の持ち方まで、相乗り対策を横断して確認します。
- ブランド登録と商品ページの編集権限の確認
- 偽造品と真正品の相乗りを分けた対処の進め方
- 欠品でカートを渡さない在庫ルールの考え方
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卸先・代理店からの値崩れ対策【独占禁止法の範囲で販路を管理する】

卸先や代理店から流れた在庫による値崩れ(原因③)は、販路の管理で対処します。
ただし、卸先の販売価格を縛ることはできません。やってよいことの線引き、取引先を選ぶ基準、価格差の設計の順に見ていきます。
卸先にAmazonの販売価格を指示してはいけない理由
卸先にAmazonでの販売価格を守らせることは、原則として独占禁止法違反です。
公正取引委員会の流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針は、取引先の販売価格の拘束を原則違法としています。これを再販売価格の拘束と呼びます。一方で、希望小売価格を参考として示すことは問題ないとされています。
卸先に対して、やってよいことと、いけないことを表にまとめます。
| 卸先への行為 | やってよいか | 指針の考え方 |
|---|---|---|
| 希望小売価格を「参考価格」として示す | やってよい | あくまで参考と伝え、守らせなければ問題ない |
| 実際の販売価格を調べる(流通調査) | やってよい | 調べること自体は、通常問題ない |
| 品質や売り方の合理的な基準で取引先を選ぶ | やってよい | 希望する他の業者にも同じ基準を当てれば、通常問題ない |
| 基準を満たさない業者への転売を禁じる | 条件付きでやってよい | 上の選択的流通の一環として行う場合に限る |
| Amazonでの販売価格を指示して守らせる | いけない | 再販売価格の拘束として、原則違法 |
| 安売りを理由に出荷停止や取引停止をする | いけない | 価格を守らせる手段になり、原則として違法 |
公正取引委員会「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」をもとに作成。確認日は2026年9月29日です。
流通調査で安売りを見つけても、それを理由に出荷を止めると、原則として違法です。個別の契約や対応は、独占禁止法に詳しい弁護士に確認してください。
取引先を選ぶ基準は品質と売り方で決め、全卸先に同じ基準を当てる
取引先を選ぶ基準は、価格ではなく品質と売り方で決めます。
指針は、品質の保持や適切な使用の確保など、消費者の利益から見た合理的な基準を認めています。こうした基準で取引先を選ぶことは、通常問題ないとされています。条件は、取扱を希望する他の業者にも同じ基準を当てることです。これを選択的流通と呼びます。
この考え方は、ネット販売でも実店舗でも変わりません。基準を満たさない安売りの業者が結果として扱えなくなっても、通常は問題にならないとされています。
実務では、まずAmazonでの販売を誰が担うかを決めます。そのうえで、商品説明や保管、販売方法の基準を卸契約に落とし込みます。価格に関する条項は入れず、基準の運用は弁護士と確認しながら進めてください。
ネットと店頭・卸の価格差を先に設計する

卸先の不満と在庫の流出を防ぐには、ネットと店頭・卸の価格差を先に設計しておきましょう。
自社のAmazonの価格が卸値の近くまで下がると、卸先は店頭で売る理由を失います。不満を招くうえ、在庫をネットに流す動機にもなります。自社の価格を先に整えることが、卸先に頼らない予防策です。
支援現場での一つの目安は、送料込みで既存価格の110〜120%程度です(商材や販路の状況によって変わります)。
※詳しくはAmazonの価格設定の決め方|利益から下限価格を逆算する4ステップと、値下げ・自動設定・出品停止の注意点へ。
卸先との関係を壊さずに、Amazonの価格を守りたい方へ。
LINK株式会社では、Amazonの価格と既存の販路の価格差を、運用の目線で確認します。
- Amazonでの販売を誰が担うかの整理
- 既存価格とネット価格の差の考え方
- 卸先から流れた在庫が出ているかの確認
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中国セラーなどの類似品に値下げで対抗しない対策

中国セラーなどの類似品(原因④)には、値下げで対抗しないのが基本です。
相手の原価は分からないため、価格だけで競うと先に自社の利益が尽きるおそれがあります。下限価格を決め、価格以外で選ばれる理由を積み、広告枠を守り、比較の土俵を変える順に進めます。
値下げの下限価格は原価と手数料から先に決める
値下げで対抗するかどうかは、先に下限価格を決めてから判断しましょう。
下限価格とは、原価や販売手数料、配送料、広告費を払ったうえで、残したい利益が残る最低の価格です。原価が高い商品ほど、類似品の安値に付き合うと利益が残りにくくなります。監修者も解説動画で、利益が出ない事業者の共通点の1つ目に製品原価の高さを挙げています。計算式と、広告費や原価の置き方は、前章で紹介した価格設定の記事で整理しています。
価格以外で選ばれる理由を商品ページに積む【レビュー・画像・動画】
類似品と比べられても選ばれるには、価格以外の理由を商品ページに積みましょう。
- レビュー:レビュー数とCVRの関係は直線ではなく、階段状に跳ねる傾向があります。支援現場の実感では、最初の1件と10件目で大きく変わるため、まず10件の壁を越えることが優先です
- 星の表示:星は0.5刻みで表示され、平均4.3〜4.7は星4.5と表示されます。星4から星4.5の表示に上がると、CVRはおおむね1.2倍程度になるのが現場の感覚です。レビューの見返りに特典を付けるのは規約違反です
- 動画・商品紹介コンテンツ:情報量の差をつけられます。ページが充実した商品ほど検索順位でも有利になるのが、支援現場での実感です
1万円以上の高単価の商品では、情報を詰め込まず、世界観で語るほうが合う傾向があります。そのうえで、手作業の製造や素材など、まねしにくい事実を数を絞って示します。これが価格の根拠になり、安い類似品と並んでも選ばれやすくなります。
CVRが上がれば、広告を触らなくても広告効率は上がります。単価1万円、クリック単価100円で、10クリックに1件売れる商品なら、広告費1,000円で売上は1万円です。CVRが2倍になれば、同じ1,000円で売上は2万円になります。値下げで効率を戻す前に、ページ側の改善を検討しましょう。
自社ページの広告枠を守る広告運用と、競合セールへの対抗の判断
類似品の広告に、自社の商品ページの枠を渡さない工夫も必要です。
商品ページの下部には、他社の広告が並ぶ枠があります。ここに自社の別商品の広告を出すのが、守りの広告です。自社商品同士は関連性が高いため、クリック単価を低く抑えやすい傾向があります。支援現場では、1桁台のクリック単価で出せることもあります。
色違いなど近い商品を3〜4つ以上持つ会社に向く方法です。単品しかない場合は、次の土俵を変える打ち手とあわせて考えましょう。
競合のセールに対抗するかは、自社が戦う検索結果の上位の競合に絞って判断しましょう。対抗する場合も、割引後の価格が下限価格を上回る範囲にとどめます。
改良品やセット商品で比較の土俵を変える
価格で比べられ続けるなら、改良品やセット商品で比較の土俵を変える方法もあります。
ただし新商品を考える前に、既存商品の改善余地が残っていないかを見ておきましょう。私たちも商品開発の相談を受けた際、先に既存商品の改善を提案することがあります。改善余地が残っていれば、そちらのほうが費用と工数の面で効率が良い場合があるためです。
改良点を探すときは、市場規模、上位の競合の売上、競合の強さの3つを確かめましょう。競合の強さは、画像や広告、レビューの数と評価、セールへの参加状況から判断できます。類似品と同じ比較に入らない、機能や組み合わせの違いを作ることが狙いです。
類似品の安値に、値下げで付き合い続けていませんか。
LINK株式会社では、価格だけに頼らない守り方を、商品ページと広告の両面から確認します。
- 原価と手数料から見た値下げの下限の考え方
- レビューや画像など、価格以外で選ばれる理由の点検
- 自社ページの広告枠と、競合セールへの対抗の判断
売上向上実績100社以上、売上平均上昇率420%以上です(※お客様実績に基づく参考値)。無料相談にて、値下げ以外の打ち手の優先順位から一緒に整理します。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
自社の値下げで値崩れを起こさない対策【価格の自動設定とセールの運用】
自社の値下げが引き金になる値崩れ(原因⑤)は、運用のルールで防げます。
価格の自動設定とセールの2つについて、ルールを決めておきましょう。
価格の自動設定の「出品価格の下限」には下限価格を入れる

価格の自動設定を使うなら、「出品価格の下限」には下限価格を入れましょう。
価格の自動設定は、SKUの価格を自動で調整する機能です(出典:価格の自動設定について)。おすすめ出品価格の変更などに応じて動きます。下限を低く置いたまま競合に追従させると、相乗り出品者の値下げを自社が追いかけ、下落を広げる側に回ります。
セールは時期と効果の評価方法を決めて打つ
セールそのものは否定せず、時期と評価の方法を決めて打ちましょう。
時期は、次の2つを基準にしましょう。
- 立ち上げ期は3ヶ月から半年ほどと期間を決め、広告やセールに投資する。立ち上がった後は割引や広告を絞り、利益を残す時期に切り替える(監修者が解説動画で紹介している考え方)
- 値引きは人が集まる大型セールに寄せる。プライムデーなどでは先行セールより本セールに人が集まり、最終日の21時から24時ごろに購入が集中する傾向もある
効果は、通常期ではなく前回参加したセールと比べ、期間後の検索順位と売上水準まで見ましょう。割引をやめた後に売上の水準が戻らないなら、値引きが常態化している合図です。値引きの頻度と深さを見直しましょう。
ここまでの打ち手は、一度やれば終わりではありません。最後に、社内で回し続けられるかを見ていきます。
値崩れ対策を自社で回すか支援会社に頼むかの判断基準

値崩れ対策には、出品者の監視、報告、在庫と価格の管理を続ける手間がかかります。自社で回すか、支援会社の手を借りるかの判断基準を整理します。
自社で回せる会社と外部の手を借りたほうがよい会社の違い
自社で回せるかは、次の3つの条件で判断できます。
- 出品者一覧と価格推移を、週に1回は見る担当者がいるか
- 報告や申し立てを、却下されても粘り強く続けられるか
- 卸先の契約や基準を見直す権限を持つ人が、社内にいるか
3つとも満たせるなら、自社で回せます。1つでも欠けるなら、欠けた部分を外部の手で補う方法を検討しましょう。
値崩れ対策を支援会社に頼む前に確かめる3点【実務の担当者・監視と報告・責任者の経験】
支援会社を選ぶときは、契約前に次の3点を確かめましょう。
- 実務を担当するのは誰か:営業と実際の運用担当が別人であることはよくあります。商談の段階で担当者の名前と経験を聞き、答えが濁るなら注意が必要です
- 監視と報告を誰が担うか:1人の担当者が多くの会社を抱えていると、監視や報告の対応が遅れがちです。誰が出品者を見て、誰が報告を出すのかまで確認しましょう
- 責任者がこれまで何を担当してきたか:同じ肩書きでも、担当してきた業務で得意な領域は変わります。利益や在庫、ブランドまで一緒に考えられる相手かを見ましょう
なお、卸先との契約が独占禁止法に触れるかは、支援会社では判断できません。法的な判断は弁護士に確認してください。
値崩れ対策を続ける人手が、社内で足りていない方へ。
LINK株式会社は、Amazonの運用を商品ページ、広告、在庫まで一貫して支援しています。1案件につき最低3名体制で担当します。
- 出品者と価格の動きを見る運用の組み立て
- 報告や申し立ての進め方の整理
- 在庫と価格のルールづくり
売上向上実績100社以上、サービス満足度97%以上です(※お客様実績に基づく参考値)。無料相談にて、社内で回す部分と外部に頼む部分の分け方から一緒に整理します。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
Amazonの値崩れ対策に関するよくある質問
- 値崩れした価格は元に戻せますか?
原因を止めれば戻せる可能性はありますが、すぐには戻りません。相乗り出品者が減っても、購入者が見てきた安い価格の印象は残るためです。
戻るまでの期間は、商品や原因によって変わります。まず原因を止め、レビューや商品ページで価格以外の価値を積みましょう。そのうえで、段階的に価格を戻すのが現実的です。
- 相乗り出品者を完全に排除できますか?
偽造品は報告で削除され得ますが、真正品の転売はすべて止められるとは限りません。真正品の転売は、原則として商標権の侵害に当たらないためです。
真正品の相乗りは、仕入れ元をたどって販路を見直すのが根本の対策です。出品の状態に違反があれば、報告できる場合もあります。
- 商標が出願中でもブランド登録で対処できますか?
はい。ブランド登録は、出願中の商標でも申請できます。商標の登録を待たずに、手続きを始められます。
また、模倣品を自社で削除できるProject Zeroは、登録商標の権利者であることが条件です。本格的な対策には、商標の登録まで進めておくのが確実です。
- 相乗りの商品が偽物かどうかは、どう確かめますか?
現物を購入し、自社の正規品と比べるのが確実です。パッケージ、表示、付属品、品質などの違いを写真と記録で残します。
報告に必要な情報は、報告の画面やセラーセントラルのヘルプで確認しましょう。偽物と確認できない出品を、偽造品として報告しないでください。
- 卸先に「Amazonでは定価で売ってほしい」と頼んでよいですか?
避けてください。販売価格を守らせることは、原則として独占禁止法違反です。頼み方によっては、価格の拘束とみなされるおそれがあります。
できるのは、希望小売価格をあくまで参考として示すことです。個別の伝え方は、弁護士に確認してください。
- Amazonで安売りしている卸先との取引をやめてもよいですか?
安売りを理由に取引をやめると、違法になるおそれがあります。価格を守らせる手段とみなされるためです。
一方で、品質や売り方の合理的な基準を全卸先に同じく当てる選択的流通なら、通常は問題ないとされています。判断は弁護士に確認してください。
- セールをすると値崩れしますか?
セールそのものより、値引きが常態化することが問題です。いつも安い状態が続くと、その価格が普通になります。
値引きは人が集まる大型セールに寄せ、期間後の検索順位と売上水準まで見て評価しましょう。価格の自動設定の「出品価格の下限」にも、下限価格を入れておきましょう。
- 新商品を出すとき、最初から値崩れを防ぐには?
発売前に、ブランド登録、販路の基準、価格差、在庫の4つを整えましょう。ブランド登録で編集権限と報告の窓口を持ち、卸先の基準は品質と売り方で決めます。
ネット価格は既存の販路との差を先に設計し、在庫は欠品しない量を持ちます。発売後に慌てて値下げで対抗せずに済みます。
まとめ:値崩れは原因を見分けてから、原因に合う打ち手を選ぶ
Amazonの値崩れ対策は、誰が価格を下げたかを見分けることから始まります。原因は5つです。①偽造品・模倣品の相乗り、②真正品の転売・並行輸入品の相乗り、③卸先からの流出、④類似品、⑤自社の値下げです。
①はブランド登録と報告、②は仕入れ元をたどる販路の見直しで対処します。③は価格を縛らず、品質と売り方の基準で販路を管理します。④は下限価格を決め、価格以外の価値で選ばれる理由を積みます。⑤は「出品価格の下限」の設定と、セールの時期と評価方法を決めることで防ぎます。
最初の一歩は、今週中に出品者一覧とKeepaの価格推移を確かめることです。誰が、いつ価格を下げたかが分かれば、打ち手は自然に絞れます。
Amazonの値崩れを、原因から止めたい方へ。
LINK株式会社は、Amazonの運用を商品ページ、広告、在庫、価格まで一貫して支援しています。
- 値崩れの原因5つの切り分け
- 相乗り、卸先、類似品への打ち手の優先順位づけ
- 価格の自動設定とセールの運用ルールの見直し
売上向上実績100社以上、サービス満足度97%以上、1年以上継続率90%以上です(※お客様実績に基づく参考値)。無料相談にて、自社の値崩れを止める順番の考え方から一緒に整理します。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
- 参照した一次情報・公式情報
- Amazon Brand Registry(ブランド登録)(登録の要件と保護機能。2026年9月29日確認)
- Amazon Project Zero(利用条件とTransparency。2026年9月29日確認)
- 公正取引委員会「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(再販売価格の拘束、流通調査、選択的流通。2026年9月29日確認)
- 税関「輸入差止申立て制度の概要」(2026年9月29日確認)
- Amazonセラーセントラル ヘルプ「コンディションガイドライン」(新品として出品できる条件。2026年9月29日確認)
- Amazonセラーセントラル ヘルプ「価格の自動設定について」(価格の下限と上限。2026年9月29日確認)
- 最高裁判所 平成15年2月27日判決(並行輸入品と商標権)
- 記事監修
- 公開日: 2026年9月30日 / 最終更新日: 2026年9月30日
- 監修者:南雲 宏樹(LINK株式会社 代表取締役 / 元Amazon Japan)
- 本記事はAmazon公式サイト、公正取引委員会と税関の公表資料、およびLINK株式会社の支援実績データを基に作成しました。
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