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Amazon広告のROASの目安は?カテゴリー別の相場と原価率からの逆算方法【2026年最新版・元Amazon出身者監修】

2026 7/29
2026年7月29日 2026年7月29日

Amazon広告のROASの目安は300〜400%が基準ですが、正解は原価率で決まります——損益分岐点ROASの計算式と、判断をTACOSで取るべき理由を元Amazon Japanの南雲が解説します。

「管理画面にROASという数字は出ているけれど、これが良いのか悪いのか誰も判断できない……」
「代理店から『ROAS 350%で好調です』と報告が来るのに、月末のPLを見ると利益が残っていない……」

元Amazon JapanでEC支援に携わってきた私、南雲が、Amazon広告のROASの目安と、自社の目標値を原価率から決める方法を解説します。広告費は毎月出ていくのに、その数字が投資なのか浪費なのか判断できない——現場で最も多く聞く悩みです。結論から言えば、ROASの一般的な目安は300〜400%(3〜4倍)ですが、正解は原価率で決まります。原価率が低い商材なら150%程度でも成立し、原価が重い商材なら400%でも足りません。本記事は、カテゴリー別の相場・損益分岐点ROASの計算式・ROASだけを見ると売上を落とす理由まで整理した実践ガイドです。読み終えるころには、社内に説明できる「自社の目標ROAS」を数字で決められるはずです。

その広告費、投資ですか。それとも浪費ですか。

「目標ROASを何%に置くべきか決められない」「代理店の報告を検算できない」「広告費が利益を圧迫しているが、下げるのが怖い」——LINK株式会社では、自社の原価率から損益分岐点ROASと目標TACOSを算出し、いま広告を「踏むべきか、緩めるべきか」まで提示します。支援企業100社以上・売上平均上昇率420%以上。

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この記事はこんな方におすすめ
  • Amazon広告を運用しているが、管理画面のROASが良いのか悪いのか判断できない法人EC担当者
  • 自社の目標ROAS・目標広告費比率を、根拠のある数字で社内に説明したい方
  • 運用代行・代理店のROASレポートを、自分で検算できるようになりたい方

この記事のまとめ

  • Amazon広告のROASの一般的な目安は300〜400%(3〜4倍)。Amazon公式も「3または4に近づけたい」としています。
  • ただし正解は原価率で決まります。損益分岐点ROAS = 1 ÷ 限界利益率。原価率10%前後の商材なら約150%、原価の重い食品なら300〜400%が下限です。
  • ROASだけを見て広告を絞ると、自然検索の売上まで連鎖的に落ちます。意思決定はTACOS(アカウント全体売上に対する広告費比率)で取ります。目安は10〜20%程度。
  • ROASが目標を大きく上回っているのは「優秀」ではなく売り残しのサインです。踏み込む判断も運用のうちです。
目次

Amazon広告のROASの目安は300〜400%(3〜4倍)|まずは結論と計算式

AmazonのROASの目安は300〜400%(3〜4倍)が一つの基準です。ただし正解は原価率で決まり、原価率が低い商材なら150%でも利益は残ります。

この「3〜4倍」にはAmazon自身の記述という裏付けがあります。Amazon Adsの公式ガイドは、ROASの比率を平均2:1と推定したうえで、「理想的には、ブランドはROASをより高く、3または4に近づけたいと考えています」としています(出典:Amazon Ads「広告費用対効果とは?」)。ただしこれはグローバル・全業種のブランド向けの一般論です。混同したまま「うちは350%だから合格」と判断すると、赤字で売上を作っているだけ、ということが普通に起こります。

ROASの計算式と、管理画面での確認場所(倍率と%が混在する理由)

ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告経由の売上を広告費で割った、広告費用対効果を示す指標です。

計算式は「ROAS = 広告経由の売上 ÷ 広告費」。広告費10万円で広告経由売上50万円なら5.0倍=500%です。「5倍」と「500%」が混在しますが、倍率で書くか百分率で書くかの違いでしかありません。実数はセラーセントラルの「広告」→「キャンペーンマネージャー」で確認します。

ROAS・ACOS・TACOSの関係と早見表(ROAS=1÷ACOS)

Amazon広告で使う指標は3つあり、それぞれ分母が違います。

  • ROAS=広告経由売上 ÷ 広告費(広告費に対して何倍の売上が立ったか)
  • ACOS=広告費 ÷ 広告経由売上(広告経由売上のうち何%を広告費が占めたか)。ROASの逆数であり、同じ結果を別の形式で示しているだけです
  • TACOS=広告費 ÷ アカウント全体売上(自然検索経由を含む全売上に対する広告費比率)

このうち3つ目のTACOSが、意思決定の主役になります。ROASとACOSは広告アカウントの中の話しかしておらず、事業の利益を判断できないからです。

ROAS(%)ROAS(倍率)ACOS換算ざっくりの意味
100%1.0倍100%広告費と広告経由売上が同額。原価・手数料を引けば確実に赤字
150%1.5倍約67%粗利が非常に厚い商材(原価率10%前後)でようやく損益分岐点
200%2.0倍50%Amazon公式のいう業界平均をやや上回る水準
300%3.0倍約33%一般的な目安の下限
400%4.0倍25%一般的な目安の上限。公式が「近づけたい」とする水準
800%8.0倍12.5%高効率。ただし目標TACOSに余力が残っているなら「売り残し」を疑う

ROAS 400%とACOS 25%は、まったく同じ状態を指しています。本記事では検索されることの多い「ROAS」を主軸に置き、必要に応じてACOS換算を併記します。なお800%を一律に「売り残し」と決めつけることはできません。食品などでは効率が良いケースで800%程度出ることもあります。売り残しかどうかは、ROASの絶対値ではなく「目標TACOSに対する実績TACOS」で判定します(後述)。

ROASが100%を超えていても赤字になる理由(管理画面の数字は売上ベース)

ROAS 100%は「トントン」ではなく、大赤字です。

管理画面のROASは売上ベースであり、製品原価もAmazon販売手数料もFBA配送料も一切引かれていないからです。ROAS 100%は「広告費10万円で、広告経由に10万円売れた」だけの状態。ここから原価30%・手数料10%・FBA配送料12%程度が出ていきます。目安を暗記しても意思決定はできず、自社の原価構造を入れて初めて黒字か赤字かが決まります。

【カテゴリー別】Amazon広告のROAS目安一覧|食品・雑貨・化粧品/サプリの相場

多くの解説記事は「適正値は商品によって異なります」で終わっています。それでは何も決められないので、私たちが支援現場で実際に基準にしている水準を公開します。ただし以下はLINK株式会社の支援実績に基づく現場での実感値であり、業界統計ではありません。同じカテゴリーでも商品・単価・原価率が違えば基準は変わるため、「自社の数字を計算する前の当たり」として使ってください。

カテゴリーROAS目安(%)ROAS(倍率)ACOS換算補足
食品300〜400%が下限の目安3.0〜4.0倍約25〜33%原価が重いマーケット。効率が良いケースでは800%程度出ることもある
雑貨300〜500%程度3.0〜5.0倍20〜33%SPの出稿が多く、SPの効率が出やすい。予算をSPに寄せる
化粧品・サプリSP・SBは100〜150%程度、SBVは200%程度1.0〜2.0倍50〜100%原価率10%前後で粗利が厚い場合に限り成立。広告競争が激しくCPCが高い

用語を一点補足します。私たちが現場で「広告効率」と呼ぶ指標(広告費に対する売上の割合)は、計算式としてROASと同じものです。「広告効率300%」と「ROAS 300%」は同じ状態を指しています。

食品:ROAS 300〜400%を下回ると利益が残らない理由

食品は原価が高いマーケットです。同じROASでも、手元に残る利益が他カテゴリーより薄くなります。

支援している食品事業者の実感で言うと、原価率は高いところで60%程度、低いところで30%程度。パッケージまで含めると、おおむね40〜50%に着地することが多いです。原価が売上の半分を占める以上、手数料・配送料・広告費を乗せれば利益はすぐ消えます。だからこの原価構造の事業者にはTACOSを10%以下に抑えたいとお伝えしています。逆算すると、ROASは300〜400%が下限です。

一方、食品でも効率が良いときは800%程度出ることがあります。これは商品が優れているというより、CPC(クリック単価)の調整がうまくいっているときや、CPC相場が低い時期・キーワードに当たっているときに起きる現象で、個別ケースの要素が大きい。他社の800%を見て「うちは400%だから負けている」と考える必要はありません。むしろ800%が続いていて目標TACOSに余力があるなら、売り残しの疑いがあります。

雑貨:ROAS 300〜500%が目安。SPに予算を寄せる判断

雑貨はROAS 300〜500%程度を目安にしています。

雑貨関連はSP(スポンサープロダクト)の出稿が多いマーケットで、SPの効率が良く出やすい。そのため予算配分をSPに寄せるのが基本判断です。

なぜこのレンジになるかは、次章の計算式で説明がつきます。原価率を30%程度と置くと損益分岐点ROASは約210%。目安の300〜500%は、その210%の上に「残したい利益」と「ポイント・割引の販促費」を乗せた水準です。下限に近づいたら、入札より先に原価率と販促費の設計を見直してください。

化粧品・サプリ:ROAS 100〜150%でも回す。許容できる条件は「原価率10%前後」

誤解されやすい数字なので、条件から先に書きます。化粧品・サプリでROAS 100〜150%を許容できるのは、原価率が10%前後で粗利が非常に厚いという前提が成立している場合に限ります。

単品リピート通販系は原価率10%前後というケースが珍しくありません。粗利が厚いぶん低いROASでも利益が残る一方、広告競争が激しくCPCが上がりやすい。だからSP・SBの広告効率が100〜150%程度でも回し続ける判断が成立します。TACOSで見ると30%程度、ケースによっては40%程度まで踏み込むこともざらです。

ただし同じ化粧品でも原価率30%・40%の事業者がこの水準を真似すると、確実に赤字になります。「化粧品・サプリはROAS 100〜150%でよい」というカテゴリー名だけの覚え方はしないでください。カテゴリーで目安が違って見えるのは、原価構造が違うからです。

広告メニュー(SP/SB/SBV/SD)でROASの出方は変わる|メニュー別に見る

ROASはアカウント平均ではなく、広告メニュー単位で見てください。

Amazon広告には、スポンサープロダクト(SP)、スポンサーブランド(SB)、スポンサーブランド動画(SBV)、スポンサーディスプレイ(SD)の4メニューがあります。私たちはこの4つを漏れなく設定し、露出面を網羅的に押さえます。「効率が悪いから設定しない」は誤りで、出稿していない面を洗い出して潰す意識で運用します。ターゲティング種別まで細分すると、ざっくり15〜20パターン程度の配信パターンが存在します。予算配分はSPが最も大きく、SB・SBVを合わせて2割程度というのが一般的な事業者の姿。効率が悪くなりがちなSBV・SDはCPCを下げ、SPはCPCをしっかり上げる。この調整で、全体のROASを保ちながらタッチポイントだけを増やせます。

化粧品・サプリがまさにその例で、SP・SBが100〜150%程度でも、SBVでは200%程度出るケースが多い。アカウント平均のROASだけを見て「効率が悪いから絞ろう」と判断すると、最も効率の良かったSBVごと止めてしまいます。メニュー単位でROASを分解するだけで、この事故は防げます。

自社の目標ROASは原価率から逆算する|損益分岐点ROASの出し方

解説記事によって目安がバラバラなのは(ACOS 10〜20%と言う記事も20〜30%と言う記事もある)、原価率が違えば損益分岐点が違うからです。

利益は「売上 − 製品原価 − 販管費」でしか作れません。売上は立っているのに利益が残らない事業者の一つ目の共通点は、ほぼ例外なく製品原価の高さです。ROASを追いかける前に、まず自社の原価構造を疑ってください。

損益分岐点ROASの計算式(1 ÷ 限界利益率)

損益分岐点ROAS(=利益がちょうどゼロになるROAS)、つまり赤字にならない最低ラインは、次の式で機械的に出せます。

  • 損益分岐点ROAS(%)= 1 ÷ 限界利益率 × 100
  • 限界利益率 = 1 −(原価率 + Amazon販売手数料率 + FBA配送料率)

原価率30%・販売手数料10%・FBA配送料12.5%なら、限界利益率は47.5%。損益分岐点ROASは 1 ÷ 0.475 × 100 = 約210%(2.1倍)です。この商材でROAS 200%の広告を回していれば、売れば売るほど赤字が増えます。販売手数料はカテゴリーごと、FBA配送料はサイズ・重量ごとに変わるので、セラーセントラルのFBA料金シミュレーターで自社の実額を確認してください。他社の平均値で計算した損益分岐点に意味はありません。

【原価率別】損益分岐点ROAS早見表|自社の原価率で当てはめる

Amazon販売手数料10%程度、FBA配送料12.5%程度(単価により10〜15%。その中央)で試算した早見表です。自社の実数に置き換えて使ってください。

原価率限界利益率損益分岐点ROASACOS換算該当しやすい商材
10%67.5%約150%(1.5倍)約67%化粧品・サプリ(粗利が厚いケース)
20%57.5%約175%(1.75倍)約57%—
30%47.5%約210%(2.1倍)約48%多くの商材で最初に置く目安
40%37.5%約270%(2.7倍)約37%食品(パッケージ込み)
50%27.5%約365%(3.7倍)約27%食品(パッケージ込み・原価が重い側)

ここが本記事の核心です。原価率10%の化粧品の損益分岐点は約150%、原価率40〜50%の食品は約270〜365%。前章の実感値(化粧品・サプリ100〜150%/食品300〜400%)と見比べると、現場の実感値と、原価率から計算した損益分岐点はほぼ一致します。カテゴリーで目安が違って見えるのは原価構造が違うからで、目安を暗記する必要はありません。私たちが原価率のあたりを付けるときは、まず30%程度を置いて考えます。

「損益分岐点ROAS(1階)=防衛ライン」と、次章の「目標ROAS(2階)=フェーズで動かす目標値」の関係を1枚にしたのが下の図です。自社の数字がどちらの階にいるかを確認しながら読み進めてください。

Amazon ROASの目安|損益分岐点ROAS(1階)と目標ROAS(2階)の2階建て構造の図解

月の広告費枠を決める4ステップ(月商100万円の例)

次は「今月いくらまで広告に使ってよいか」の枠を決めます。手順は4つです。

  1. 原価率を出す(あたりを付けるなら30%程度から)
  2. Amazon販売手数料(10%程度)とFBA配送料(10〜15%程度)を引く
  3. 最終的に残したい利益(15〜20%程度)を決めて引く
  4. 残りが「広告費+販促費」の原資。ここから販促費を確保した残りが広告費の上限

ステップ4を飛ばして「残り=全部広告費に使える」と考えるのが失敗の入口です。残った枠は広告費だけのものではありません。ポイント付与やクーポン割引といった販促費も、ここから出ていきます。原価率30%を起点にこの逆算をすると、広告費の上限はおおむね25%程度に着地することが多い、というのが私たちの現場感覚です。月商100万円なら広告費枠は25万円程度。

ここで出るのはあくまで「これ以上は使えない」という上限値で、後述する運用の目安(TACOS 10〜20%程度)より高く出ます。日常的にこの上限まで使い切るという意味ではありません。上限を把握したうえで、フェーズと粗利の厚さに応じて実際の比率を決めていきます。

ただしこの25%は「原価率30%・利益を15〜20%残す」という条件での着地です。食品のように原価率が40〜50%になる商材では、この枠は一気に縮み、TACOSは10%以下に抑えたい水準になります。必ず自社の数字で計算し直してください。

リピート商材はROASの見え方が変わる|初回で回収しない設計にする

定期おトク便・定期購入がある商材は、初回のROASが損益分岐点を割っていても2回目以降で回収できます。リピート率の高い商品でよく使うのが「定期クーポン」です。初回オファーのみ価格を下げて定期おトク便への加入に誘導できる比較的新しい機能で、リピートしやすい商材ほど「初回の割引で定期に引き込む」設計が効きます。初回単体のROASだけを見て切ると、2回目以降の売上を丸ごと捨てることになります。

ただし、LTV(顧客生涯価値)や許容CPAを厳密に設計する方向に私たちは進みません。Amazonは顧客リストが自社に残りにくいモール構造で、自社ECのようにLTVを積み上げる設計が成立しにくいからです。緻密にモデル化するより、原価計算の中で広告費比率をコントロールするほうが実務的です。初回の赤字をどこまで許容するかも、その枠内で決めてください。

事業フェーズで目標ROASは変える|立ち上げ期に高いROASを求めてはいけない

ここからは「2階=目標ROAS」、つまり事業フェーズによって動かす目標値の話です。利益が出ないEC事業者の共通点の一つに広告費のかけすぎがありますが、本質は金額の大小ではなく、「どのフェーズで何%まで踏むか」を決めていないことです。フェーズを定義していないから、投資期が終わっているのに赤字を踏み続ける、逆に立ち上げ期なのに利益回収期の基準で広告を絞る、という事故が起きます。

立ち上げ・投資フェーズ:広告費比率20%程度まで踏み込む(期間を先に決める)

立ち上げ期は、広告費比率20%程度まで強く踏み込みます。ポイントは金額ではなく期間を先に決めること。「立ち上げから3ヶ月」あるいは「半年」と区切り、この期間は投資フェーズだと定義します。その間は原価計算上トントン〜多少の赤字も覚悟して広告費を踏み、セールも打ち続ける。適切な期間は、目指す年商規模や初期投資額によって変わります。

この時期に一般的な目安(300〜400%)を当てはめて絞ると、販売個数が積み上がらず自然検索の順位が育ちません。立ち上げ期の広告は「今月の利益を作るため」ではなく「販売個数を積んで検索順位を買うため」に出している——目的が違えば、当てる物差しも違います。

利益回収フェーズ:広告費比率10%前後、粗利が厚ければ5〜7%

ある程度立ち上がり、利益を残すフェーズに入ったら、広告費比率を10%前後に切り替えます。粗利率が高いマーケットなら5〜7%という低いレンジで運用し、決まった枠の中で効率を最大化します(不要なキーワード・商品の除外設定、CPC調整、配信面の取捨)。月商300万〜1000万円規模がひとつの切り替え目安で、そこまで来て赤字を踏み続けるのは現実的に難しい。フェーズが変わったら比率を切り替えてください。

「広告費を下げたら売上が全部落ちる」という恐怖にどう向き合うか

フェーズを切り替えるべきだと分かっていても、広告費を下げられない。この恐怖は、正直に言えば支援している私たちの側も同じように持っています。顧客の売上と利益を預かっている以上、広告を切って売上が崩れる怖さは常にあります。

だからこそ急激に切りません。1ヶ月・2ヶ月かけて徐々にコストコントロールします。今月20%を来月10%にする一気の削減は、自然検索の売上まで巻き込んで落とすリスクがあります(理由は次章)。この怖さを減らす最善策は初期設計です。立ち上げ時の広告費設計をミスすると、後から取り返しがつきません。

ROASだけを見ると売上を落とす|判断はTACOSで取る

ここが本記事で最も伝えたい論点です。私たちがクライアントと握るのは、T-ACOS(TACOS)だけです。ROASも広告費の絶対額も、目標としては握りません。

「ROASの目安」を探してきた方には拍子抜けかもしれませんが、100社以上を支援してきた現場からの誠実な回答です。ROASは広告アカウントの中の効率しか説明せず、事業の利益はその外(自然検索の売上、原価、販促費)まで含めて初めて決まります。ROASは観察指標としては有用ですが、目標として握る指標にはなりません。

ACOS 50%・ROAS 200%・TACOS 20%|同じアカウントでも数字はこう変わる

同じアカウントの数字が、見る指標を変えるだけで「危険」にも「健全」にも見えます。次の1ヶ月のデータで考えてください。アカウント全体売上100万円/うち広告経由売上40万円/自然検索売上60万円/広告費20万円。

  • ACOS = 20万円 ÷ 40万円 = 50%(広告経由売上だけで見ると、原価計算上かなり厳しい水準に見える)
  • ROAS = 40万円 ÷ 20万円 = 200%(一般的な目安の300〜400%を下回っており、「効率が悪い」と判断されがち)
  • TACOS = 20万円 ÷ 100万円 = 20%(アカウント全体で見れば、原価率次第で十分に利益が出る水準)

ROASとACOSだけを見る担当者は「効率が悪いから絞ろう」と判断し、TACOSを見る担当者は「全体で20%なら想定内」と判断します。同じ月の同じデータです。下の図は代理店レポートの検算にそのまま使えます。

同じアカウントでACOS 50%・ROAS 200%・TACOS 20%と評価が反転することを示す図解

広告を止めると、自然検索の売上まで連鎖的に落ちる

なぜROAS基準で絞ると危険なのか。広告をかける最大の目的が、販売個数を伸ばして自然検索の売上を獲得することにあるからです。Amazonが公開しているロジックではありませんが、支援現場での実感として、Amazon SEOで最もインパクトが大きいのは直近の販売個数。広告で個数を積むと自然検索の順位が上がります。だから「ACOSが悪いから広告を止める」と判断すると、広告経由の売上が消えるだけでなく、その後じわじわと自然検索経由の売上まで落ちていく。先の例なら広告費20万円を切った結果、広告経由の40万円が消え、自然検索の60万円まで痩せていきます。

だから下げるときは、自然検索が落ちない範囲で徐々に。その判断基準がTACOSです。TACOSの目安は10〜20%程度——多くの事業者に当てはまるレンジです。ただし化粧品・サプリのように粗利が厚く競争が激しい商材では30%程度、ケースによっては40%程度まで踏み込むこともざら。逆に原価の重い食品なら10%以下に抑えたい。TACOSの許容値も、結局は原価率で決まります。

ROASが高すぎるのは「売り残し」のサイン|月次TACOSの3ステップと踏み増し方

ROASが目標を大きく上回っているのは、優秀なのではありません。出せるはずの売上を出していない状態——私たちはこれを「売り残し」と呼んでいます。在庫が余る「売れ残り」とは逆で、売上の機会そのものを取り逃している状態を指します。

  1. Amazonのビジネスレポートで、月別のアカウント全体売上を確認する(例:11月は500万円)
  2. 広告アカウントで、同期間の広告費を確認する
  3. 広告費 ÷ 全体売上で、実績TACOSを算出する

目標TACOS 20%に対して実績22%なら、徐々に広告を緩める。実績10%なら、10%分の余力が余っている=売り残しの可能性があるので踏み込む。ROASが800%出ていても、実績TACOSが目標に対して大きく下振れしているなら、それは「効率が良い」のではなく「アクセルを踏み切れていない」状態です。

踏み込むと決めたら、方向によってスピードを変えます。下げるときは1ヶ月・2ヶ月かけて徐々に。上げるときは、気をつけながら数日で一気に上げます。じわじわ上げても機会損失が続くだけだからです。踏み増しの手段は主に3つ。

  • CPC(入札単価)を上げる——最も即効性がある
  • ターゲティングを増やす——キーワード・商品ターゲティングの対象を広げる
  • キャンペーンや広告の種類を増やす——出していないメニュー(SB/SBV/SD)や配信面を開ける

ROASが良くても利益が残らない。ROASが良すぎて売り残している。どちらも、広告アカウントの中だけを見ていると気づけません。

目標TACOSを何%に置くか決められない、広告費を下げるべきか踏むべきか判断できない——そんな状態なら、一度アカウントを外から見せてください。原価構造から損益分岐点ROASと目標TACOSを算出し、いまアクセルとブレーキのどちらを踏むべきかまで提示します。支援企業100社以上/売上平均上昇率420%以上/サービス満足度97%以上。

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ROASが目安に届かないときの改善手順|「広告の中」と「広告の外」に分ける

目標に届かないと、多くの担当者は入札単価の調整から手を付けます。しかし広告効率の議論が広告アカウントの中だけで閉じると、必ずテクニックの限界に突き当たります。商品ページ・レビュー・在庫まで含めて手を打たないとROASは頭打ちです。改善策を「広告の中」と「広告の外」に分けて整理します。

まず切り分ける|ROASは「平均単価 × CVR ÷ CPC」に分解できる

打ち手を選ぶ前に原因を特定します。施策先行ではなく、課題先行です。私たちは売上をセッション(流入)/CVR/平均単価の3KPIに分解して課題を見ます。ROAS自体も、次のように分解できます。

  • ROAS =(平均単価 × CVR)÷ CPC

広告費はクリック数 × CPC、広告経由売上はクリック数 × CVR × 平均単価です。クリック数が約分されるため、ROASはこの3変数だけで決まります。つまりROASを上げる方法は3つしかありません。①平均単価を上げる ②CVRを上げる ③CPCを下げる。

この式があれば、CPCの相場(絶対値)を知らなくても自社の打ち手を決められます。問題は自社のCPCが、自社の単価とCVRに見合っているかだけ。実際ROASが跳ねている案件の要因は、CPC調整がうまくハマっているか、CPC相場そのものが低い時期・キーワードに当たっているかのどちらかがほとんどです。

ROASを上げる3つの方法(平均単価を上げる・CVRを上げる・CPCを下げる)の分解図

広告指標を見る順番は表示回数 → CTR → CPC → CVR → ROAS。上流から潰します。ここで押さえておきたいのが、打ち手と課題を取り違えないこと。メイン画像はCTRにもCVRにも効きますが、サブ画像が効くのはCVRだけです。CTRに課題があるのにサブ画像を作り込んでも、そこは動きません。

ちなみに私自身は、「CTRが何%を下回ったら直す」といった固定の数値閾値は持っていません。商材・単価・カテゴリーで水準がまるで違うからです。閾値を暗記する代わりに、2026年7月時点でCTRとCVRの両方に同時に効く打ち手として、メイン画像の改善に最も注力しています。「目安の数字」を探すより「効く順に手を付ける」ほうが速い、というのが本記事全体を貫く考え方です。

【広告の中】週1回の除外設定と「拡張」オフで、CPCの無駄打ちを消す

CPCを下げる最初の一手は、入札を下げることではなく「買わない人への配信を止めること」です。

検索用語レポートを週1回チェックし、購入につながらないキーワード・商品を除外(ネガティブ)設定する。これをルーティンにします。チーズケーキを売っているのに「ワッフル」検索者に配信されている、というのはよくある話。ワッフルを探す人がチーズケーキを買う可能性は低く、競合が人気ワッフルなら自社のクリック率まで下がります。部分一致も危険で、「靴 夏物」を部分一致で設定すると「靴 冬物」にも配信される。1単語に出稿しているつもりが、実際には100語・200語に出稿している状態です。

最も見落とされがちな落とし穴が、マニュアルの商品ターゲティング設定画面にある「拡張」ボタン。ここにはデフォルトでチェックが入っています。外さないと、狙った商品以外の類似商品にも大量配信され、広告費が無駄打ちされます。私たちは原則、この拡張ターゲティングをオフにしています(意図的に使う場合を除く)。ここ2〜3年は自動最適化系の機能が増え、意図しない配信が起きやすい。除外の対象もオートだけでなく、マニュアルの部分一致・フレーズ一致、SDのオーディエンスまで全面を見ます。

【広告の中】自社商品リターゲティングでCPCを1桁台まで落とす(守りの広告)

設定は簡単なのに、意外なほど実施されていない施策があります。スポンサープロダクトの商品ターゲティングで、自社の商品ページに自社の別商品の広告を出すというものです。自社の商品ページを下までスクロールすると、関連商品枠に競合の広告がずらりと並んでいるはず。広告費をかけて連れてきた顧客を、自社のページで競合に流出させている状態です。

強さはCPCに出ます。自社商品同士は関連性が圧倒的に高いため、1桁台のCPCで出稿できることもあります。分解式のとおり、CPCが下がれば同じ売上でもROASは上がる。検索結果上部に出すキーワードターゲティングが「攻めの広告」なら、これは「守りの広告」です。ただしカラーバリエーション違いやギフトの本数違いなど顧客ニーズの近い商品を3〜4つ以上持っている事業者に有効で、単品しか扱っていない場合は成立しません。

あわせて、バリエーションは組めるだけ組んでください。販売個数の加点は親ASIN単位で行われレビューも統合されるため、広告費を増やさずに販売個数とレビューを積み上げられます。運用代行を使っているなら、自分の商品ページで自社広告が出ているか確認し、「これは効果的ですか?」と聞いてみてください。

【広告の外】CVRが2倍になれば、広告を1円も触らずROASは2倍になる

ここがROASを上げる最大のレバーです。商品単価1万円、CPC 100円。10クリックで1個売れる(CVR 10%)なら、広告費1,000円で売上1万円=ROAS 1000%。サブ画像の改善などでCVRが2倍(20%)になれば、同じ広告費1,000円で売上は2万円。ROASも2倍になります。

入札単価を1円も触っていないのに、ROASが倍になる。これが「広告の外」の威力です。ROASが頭打ちなら、入札画面ではなくメイン画像・サブ画像・ブランドストア・商品紹介コンテンツ(A+)・レビューに目を向けてください。CVR改善は自然検索経由の顧客にも効くため、広告効率とオーガニック売上が同時に改善します。

【広告の外】メイン画像・商品動画・レビューでCTRとCVRを上げる具体策

① メイン画像(CTRにもCVRにも効く)。従来は「完全な白背景・商品のみ」が原則でしたが、直近は規制が弱まり、背景要素やアテンションシールを入れたリッチなメイン画像が通るようになっています。単価3,000円程度のスイーツ商品で、メイン画像を変えただけで広告のCTRが2%程度から3%程度に向上したケースがありました。ここで効いてくるのがCTRは広告アカウントでしか取得できないという点。広告のCTRを指標にA/Bテストする——広告と商品ページはこうして地続きになります。なお商品の横幅を超えるシールは削除されやすく、規制も変わりうるため、最新のAmazon公式ガイドラインで確認してください(2026年7月時点の傾向)。

※画像の構成や外注費用から確認したい方はAmazon画像制作とは?売れる構成と制作・外注の進め方もどうぞ。

② 商品動画(CVRと検索順位の両方に効く)。サブ画像枠への動画実装はCVR施策として知られますが、実際には検索順位も大きく上がります(公表ロジックではなく支援現場での実感)。動画実装だけで月商が1.2倍程度になった事例や、月商60〜70万円台をうろついていた健康食品メーカーが、動画実装後に月商100万円程度で安定した事例があります。

コツは2つ。尺は45秒以下にすること。スポンサーブランド動画広告(SBV)への転用には45秒以下という制限があり、超えていると「化粧品・サプリはSBVでROAS 200%程度」という最も効率の良い面に出稿できません。もう1つは最初から100点を目指さないこと。60〜70点でも「設定されていること」自体が効きます。制作コストは3通り。既存サブ画像を使ったAIスライドショーは実費ほぼゼロ、クラウドソーシング外注なら2万〜5万円程度、制作会社へのフル依頼で10万〜20万円程度が目安です。

③ レビュー(CVRに効く)。レビュー数とCVRの関係は直線ではなく階段状で、0→1、9→10、49→50、100個のタイミングで跳ねます。最優先は「10個の壁」。さらに星の表示は0.5刻みで、平均4.3に乗ると星4.5表示になり、星4表示と比べCVRはおおむね1.2倍程度に。CVRが1.2倍ならROASも1.2倍で、平均4.2の商品は大チャンスです。手段は、注文管理画面の「レビューをリクエストする」ボタン(獲得率がおおむね3〜5%程度まで向上するというデータがあります)をツールで一括送信するか、レビュー30個未満なら使えるAmazon Vine(2万2,000円程度+商品原価)。インセンティブ付きのレビュー依頼は規約違反です。絶対に行わないでください。

※レビューリクエストの一括送信ツールから検討したい方はAmazonセラースプライトとは?できること・活用方法・評判を解説もどうぞ。

広告のキーワード選定に迷ったら、ブランド分析の「上位の検索用語」で検索頻度ランクを確認します。感覚的な目安として3桁台(〜999位)は超ビッグワード、4桁台もビッグワード、5桁台はミドルキーワード。この5桁台くらいまでは、商品名にも広告にも入れておきたい範囲です。

在庫が切れかけているのに広告を回すのは、広告費を捨てているのと同じ

在庫切れはAmazon運用で最もダメージが大きい事故です。SEOで最重要の「直近の販売個数」が一定期間ゼロになるうえ、在庫切れ自体へのペナルティもあります。しかもFBAは納品リードタイムやAmazon側の受領作業(2〜3日程度)があり、プライムデー・ブラックフライデー前は在庫反映が大幅に遅れることもざらです。

基本ルールは、直近の販売ペースで2ヶ月分程度の在庫を常時FBAに入れ、残り1ヶ月分程度になったら追加納品する。在庫が尽きる直前に広告費を踏み込むのは、順位も広告費も同時に失う最悪の組み合わせです。ROASを見る前に、まず在庫を見てください。

これから広告を始める場合の初期設定手順|ROASを見始めるまでの4ステップ

いきなりROASを追いかけないでください。データが溜まる前のROASは振れ幅が大きく、判断材料になりません。最初にやることは4つです。

  1. 原価計算で出した広告費の上限%を、そのまま初期の目標TACOSとして使う(計算方法は前述の「月の広告費枠を決める4ステップ」のとおり。原価率30%程度を起点にすると、おおむね25%程度に着地することが多い)。これはデータが溜まるまでの暫定値で、運用の目安10〜20%より高く出ます
  2. オートターゲティングを1〜2週間回す。日次で一喜一憂せず、1週間単位のまとまったスパンで判断する
  3. その期間の売上と広告費からTACOSを算出する。目標に達していなければクリック単価を上げ、超えすぎていれば10円・20円単位で下げる
  4. 1ヶ月・2ヶ月かけて、効率の良いキーワードをマニュアルターゲティングに切り出していく

この段階では、TACOSが目標レンジに収まるかどうかだけを見ます。ROASをキャンペーン単位で細かく見始めるのは、データが溜まってマニュアルに切り出す段階からで十分です。データが溜まったら、フェーズと粗利の厚さに応じて目標TACOSを本来の水準へ寄せていってください。

運用代行・代理店に任せている場合|ROASレポートの検算ポイント4つ

レポートのROASを鵜呑みにしないための検算ポイントです。発注前の見極めにも、発注後のチェックにも使えます。

  1. ACOSとTACOSを両方出させる——ROASが良く見えてもTACOSが跳ね上がっていれば、事業としては赤字で売上を作っている可能性がある。逆にROASが目標を大きく超えているなら「なぜ踏み込まないのか」を説明させる(売り残しの疑い)
  2. 予算を「%」で握れるか確認する——固定額での握りは、伸びている月は機会損失、落ちている月は赤字で売上を作る
  3. 誰が実務を担当し、何名体制か聞く——営業担当と実務担当が別人なのは非常によくあるパターン。理想は3名体制(品質管理者/ディレクター/実務アシスタント)
  4. 利益・在庫・ブランドの話ができるか見る——「Amazon出身」の肩書きだけでは判断できない。PL上の利益、セールによるブランド毀損、在庫リスクを一緒に考えられる相手か

②について補足します。「売上ベースの成果報酬は広告費が膨らんで利益を圧迫する」という一般的な注意喚起をよく見かけますが、私はこれは適切ではないと考えています。広告費比率(TACOS)の上限をきっちり握っておけば、成果報酬が売上にかかる形でも問題は起きません。報酬形態そのものより、TACOSの上限を合意できているかのほうが重要です。

③④は、成果が出るまでの時間を左右します。営業に魅力を感じて発注したのに、運用が始まったら経験の浅い担当者がついた——という話は珍しくありません。ここを質問して濁されたら要注意です。発注者にとって最大の損失はトラブルではなく、「思ったように売上が上がらないまま3〜4ヶ月を無駄にすること」です。

そして本記事のテーマに引きつけると、判断材料は一つ。ROASという単一指標しか語らない相手は、利益・在庫・ブランドの目線を持っていない可能性が高い。その目線がある相手なら、必ずTACOSと原価の話が出てきます。

※費用相場や選定基準から確認したい方はAmazon コンサルティングとは?費用相場とAmazon公式コンサルとの違い・選び方6軸もどうぞ。

Amazon広告のROASに関するよくある質問

AmazonのROASの目安は何%ですか?

300〜400%(3〜4倍)が一つの基準です。Amazon Adsの公式ガイドも、業界平均を2:1程度と推定したうえで「理想的にはブランドはROASを3または4に近づけたい」と記しています。

ただし実際の適正値は原価率で決まります。損益分岐点は原価率10%前後の粗利が厚い商材で約150%、原価率40〜50%の食品で約270〜365%。食品は実務上300〜400%が下限の目安になります。自社の実数で「損益分岐点ROAS=1÷限界利益率」を計算してください。

ROASが100%だとどういう意味ですか?黒字ですか?

ROAS 100%は「広告費と広告経由売上が同額」という意味で、事業としては明確な赤字です。「トントン」ではありません。管理画面のROASは売上ベースで、製品原価もAmazon販売手数料もFBA配送料も引かれていないためです。黒字ラインは損益分岐点ROAS(=1÷限界利益率)で計算してください。

ROASとACOSはどちらを見るべきですか?

ROASとACOSは同じ結果の裏返し(ROAS=1÷ACOS)なので、どちらを見ても構いません。ROAS 400%とACOS 25%は同じ状態です。

ただしどちらも「広告アカウントの中の効率」しか説明していません。広告費を増やすか減らすかの意思決定はTACOS(アカウント全体売上に対する広告費比率)で行います。私たちがクライアントと目標として握るのもTACOSだけで、ROASは運用改善のための観察指標です。

ROASが高すぎると何が良くないのですか?

ROASが目標を大きく上回っているのは「優秀」ではなく、売り残しのサインである可能性があります。

判定はTACOSで見ます。目標TACOS 20%に対して実績10%なら、10%分の余力を使い切れていないということ。踏み増しの手段は「CPCを上げる」「ターゲティングを増やす」「キャンペーン・広告の種類を増やす」の3つが中心で、下げるときと違い、気をつけながら数日で一気に上げます。

損益分岐点となるROASはどう計算しますか?

損益分岐点ROAS = 1 ÷ 限界利益率で計算します。限界利益率 = 1 −(原価率 + Amazon販売手数料率 + FBA配送料率)。原価率30%・手数料10%・FBA配送料12.5%なら限界利益率47.5%、損益分岐点ROASは約210%です。料率はFBA料金シミュレーターで確認してください。

ROASとROI・CPAの違いは何ですか?

ROASは広告費に対する「売上」の倍率、ROIは「利益」ベースの投資収益率、CPAは1件の購入を獲得するのにかかった費用です。注意すべきは、ROASは利益を保証しない点。Amazonでは顧客リストが残りにくくLTVを設計しにくいため、原価計算の中で広告費比率(TACOS)をコントロールする実務が一般的です。

TACOSとは何ですか?どこで確認しますか?

TACOSは「アカウント全体売上(自然検索を含む)」を分母にした広告費比率です。ACOSは「広告経由売上」が分母である点が異なります。

TACOSはキャンペーンマネージャーに表示されません。全体売上を「レポート」→「ビジネスレポート」で確認し、同期間の広告費と突き合わせて算出します(広告費 ÷ 全体売上)。目安は10〜20%程度、粗利の厚い化粧品・サプリは30〜40%程度、原価の重い食品は10%以下です。

楽天RPPのROASの目安もAmazonと同じですか?

考え方(原価率から損益分岐点を逆算する)は同じですが、同じ数値をそのまま当てはめないでください。楽天はポイント施策の原資が販管費に大きく乗るため、同じ原価率でも許容できる広告費比率が変わります。

まとめ|ROASの目安は暗記するものではなく、自社の原価率から計算するもの

Amazon広告のROASの一般的な目安は300〜400%(3〜4倍)で、Amazon公式も3〜4を目標水準としています。ただし正解は原価率で決まります。損益分岐点ROAS = 1 ÷ 限界利益率。原価率10%前後なら約150%、原価率40〜50%の食品なら300〜400%が下限です。カテゴリーで目安が違って見えるのは、原価構造が違うからにすぎません。

そしてROASだけを見て広告を絞ると、自然検索の売上まで連鎖的に落ちます。私たちがクライアントと目標として握るのはT-ACOS(TACOS)だけで、ROASも広告費の絶対額も握りません。TACOSの目安は10〜20%程度(粗利が厚い商材は30〜40%程度、原価の重い食品は10%以下)。ROASが目標を大きく上回っているのは優秀ではなく、売り残しです。下げるときは1〜2ヶ月かけて徐々に、上げるときは数日で一気に——方向によってスピードを変えてください。

目安に届かないときは、広告の中(週1回の除外、拡張ターゲティングのオフ、自社商品リターゲティング)と広告の外(メイン画像・商品動画・レビューによるCVR改善)に分けて手を打ちます。CVRが2倍になれば、広告を1円も触らずROASは2倍。まずはセラーセントラルで自社の原価率・手数料・FBA配送料を確認し、損益分岐点ROASを計算するところから始めてください。

ROASの目安をつかんだうえで、広告運用を実際にどう回してもらえるのかを知っておくと外注の見極めがしやすくなります。LINKの支援体制は短い動画でも紹介しています。

Amazon・楽天の運用代行サービス紹介|LINK株式会社

広告運用を任せる場合の動き方の参考にどうぞ。

目標ROASを計算してみて、「この数字で合っているのか」「いまは踏むべきか、緩めるべきか」に迷ったら。

LINK株式会社では、損益分岐点ROAS・目標TACOSの算出、広告アカウントの無駄打ち診断、踏むべきか緩めるべきかの方向提示までを無料のアカウント診断でご提示します。プライム上場企業から中小企業まで支援企業100社以上/売上平均上昇率420%以上/サービス満足度97%以上/1年以上継続率90%以上。パートナー・PM・実行担当の最低3名体制で伴走します。

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参照した一次情報・公式情報
  • Amazon Ads「広告費用対効果(ROAS)とは? ROASの計算方法」(ROASの定義・計算式、「3または4に近づけたい」の記述)
  • Amazon Ads「ACOS(広告費売上高比率)とは?」
  • Amazon セラーセントラル ヘルプ「販売手数料・FBA配送料/FBA料金シミュレーター」
  • Amazon セラーセントラル ヘルプ「商品画像のガイドライン」
  • 本記事はAmazon公式ヘルプおよびLINK株式会社の支援実績(100社以上)データを基に作成しました。
記事監修
  • 公開日:2026年7月14日 / 最終更新日:2026年7月14日
  • 監修:南雲 宏樹(LINK株式会社 代表取締役 / 元Amazon Japan)
  • リクルート、Amazon Japan(ECコンサルタント)を経てLINK株式会社を創業。Amazon公認パートナー(Adsパートナー認定)。
  • 本記事はAmazon公式ヘルプおよびLINK株式会社の支援実績(100社以上)データを基に作成しました。

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