Amazonと楽天の比較。出店費用は月額4,900円と2.5万円から、1モール目を選ぶ5問を元Amazon出身者が解説。
「Amazonと楽天、どちらに先に出店すべきか決めきれない……」
「楽天の固定費に見合う売上が出るか分からない……」
元Amazon JapanでEC支援に携わってきた私、南雲が、Amazonと楽天の出店の違いと、法人が先に選ぶモールの決め方を解説します。Amazonは月額4,900円に販売手数料が乗る変動費型、楽天は月額25,000円からの固定費型です。検索で探される商材を少人数で売るならAmazon、店の世界観やイベントで売るなら楽天が向きます。本記事は、月商別の費用の効き方、集客と運営の違い、1モール目の決め方までを整理した実践ガイドです。読み終えるころには、自社が先に出すべきモールを判断できるはずです。
この記事のまとめ
- Amazonは商品を出品するマーケットプレイス型(1つの商品ページに複数の出品者が並ぶ形式)、楽天は店を出店するテナント型(店舗ごとにページを持つ形式)です。
- 費用はAmazonが月額4,900円(税抜)と販売手数料、楽天が月額25,000円から130,000円(税別)と売上連動の料金。楽天の月額出店料は2027年2月に改定予定です。
- Amazonは検索起点で商品単位、楽天はイベントとリピーター起点でショップ単位に売上が積み上がります。
- 立ち上げ期は商材に合う1モールに絞り、1モール目が軌道に乗ってから2モール目へ広げます。
利益が出ないEC事業者に共通する点は、代表・南雲の解説動画でも取り上げています。
Amazonと楽天の出店はどう違うのか。「商品を出品する」か「店を出店する」かの仕組みの違い

Amazonは1つの商品ページに複数の出品者が並ぶ出品型、楽天は店舗ごとにページを持つ出店型です。
この違いは、費用の形にも集客の形にも波及します。まず仕組みを押さえてから、費用と集客の比較に進みます。
Amazonはマーケットプレイス型。1つの商品ページに複数の出品者が並ぶ仕組み
Amazonでは商品ページ(カタログ)が主役で、店舗ではなく商品に注目が集まります。
同じ商品には、同じページに複数の出品者が相乗りします。購入ボタンに紐づく出品者はカートボックス(ページ上の「カートに入れる」枠を獲得した出品者の表示)で決まります。楽天市場には公式の比較ページ「Amazon・Yahoo!ショッピングとの違い」があります。このページは、Amazonを「商品にスポットが当たる」マーケットプレイス型と説明しています。
実務では、商品ページを自社で改善できるかが分かれ目になります。編集権限はブランド登録の有無で変わるため、出店前に確認しておきたい点です。評価が商品単位で積み上がる点は、集客の章であらためて扱います。
楽天はテナント型。店舗ごとにページを作り、店の単位で集客する仕組み
楽天市場は店舗ページと商品ページを自社で作り込む形式で、店のファンをつくる構造です。
同じページで楽天市場は、自社を「テナント型(出店型)」と位置づけています。店にスポットが当たる形式だという説明です。出店店舗数は5万店舗以上とされています(2026年2月時点・楽天グループ決算説明会資料)。
運営面では、1店舗に1人の専任ECコンサルタントが付く体制も公式に案内されています。ページの自由度が高い分、作り込む手間も自社側に残ります。
流通規模の数字だけで出店先を決めないほうがよい理由
流通総額や店舗数は各社で集計の範囲が違うため、単純に並べて比べられません。
モール全体の規模が大きくても、自社の商材が売れるとは限りません。見るべきは、自社カテゴリーで似た価格帯の商品が動いているかどうかです。規模の大小ではなく、このあとの8項目で比較してください。
【比較表】Amazonと楽天の出店を8項目で比較する費用・集客・運営の早見表
8項目は、出店形式を前提に、費用構造・集客の起点・運営体制という3つの判断軸にまとまります。
出店形式の違いは前の章で見たとおりです。表で全体像をつかんだあと、3つの判断軸をこのあとの3つの章で1つずつ深掘りします。
| モール | 出店形式 | 初期費用 | 月額の固定費 | 売上に連動する主な料金 |
|---|---|---|---|---|
| Amazon(大口出品) | マーケットプレイス型(出品型) | ―(月額料金と販売手数料で構成) | 4,900円(税抜) | 販売手数料(多くの場合5%から15.4%) |
| 楽天市場(がんばれ!/スタンダード/メガショップ) | テナント型(出店型) | 初期登録費用60,000円 | 25,000円/65,000円/130,000円(税別) | システム利用料、楽天ポイント原資、アフィリエイト、楽天ペイ利用料 |
表の「出品」はAmazonでの呼び方、「出店」は楽天市場での呼び方です。同じ「売り始める」行為でも、契約の単位が商品か店舗かで変わります。
| モール | 集客の起点 | 評価が積み上がる単位 | 開店・販売開始までの目安 | 物流代行サービス |
|---|---|---|---|---|
| Amazon | 検索(商品を探して買う) | 商品(ASIN=商品ごとの識別コード)ごと | 出品したい商品が手元にあれば最短10日 | FBA(Amazonの物流代行) |
| 楽天市場 | イベントとポイント、リピーター | ショップ評価とレビュー | 通常1ヶ月半から2ヶ月 | 楽天スーパーロジスティクス |
各社公式サイトの公開情報より作成しました。Amazonの販売手数料は税抜、そのほかは表記どおりです。確認日は2026年9月21日です。
Amazonと楽天の出店費用を比較。月額4,900円と2.5万円から13万円の差はどう効くか
Amazonは固定費が小さく売れた分だけ手数料が乗る形、楽天は固定費が先に決まる形です。
判断を分ける1つ目の軸が、この費用構造の違いです。金額そのものより、月商に対して固定費がどれだけ重いかで見てください。
Amazonの費用は大口出品の月額4,900円とカテゴリー別の販売手数料
大口出品は月額4,900円(税抜)と販売手数料、小口出品は1商品100円と販売手数料です。
販売手数料は「多くの場合は5%から15.4%」とされ、カテゴリーと1点あたりの売上で段階的に変わります。たとえば次の2つのカテゴリーです。
- 食品・飲料:750円以下が5%、750円超1,500円以下が8.4%、1,500円超が10.4%です。
- ホーム・キッチン:750円以下が5%、750円超が15.4%です。
最低販売手数料は30円です(出典:Amazon出品サービス「料金プラン」)。販売手数料は税抜で計算し、そのほかの手数料は税込で表示されます。ここを取り違えると二重計上になるため注意してください。出品プランの解約・変更は、いつでもできるとされています。
FBAを使う場合は、配送代行手数料と在庫保管手数料が別にかかります。カテゴリー別の料率は改定されるため、自社カテゴリーの実額はAmazon出品サービスの料金ページで確認してください。
楽天の費用は3プランの月額出店料とシステム利用料・ポイント・決済の料金
楽天市場は初期登録費用60,000円に加え、プランごとの月額出店料と売上連動の料金がかかります。
月額出店料はプランごとに決まっています。いずれも税別で、契約期間は1年です。
- がんばれ!プラン:月額25,000円。年間一括払いで、登録できる商品は10,000商品までです。
- スタンダードプラン:月額65,000円。半年ごとの2回分割で、登録できる商品は50,000商品までです。
- メガショップ:月額130,000円。半年ごとの2回分割です。
売上連動の料金はシステム利用料が中心です。がんばれ!はPCが3.5%から6.5%、モバイルが4.0%から7.0%。スタンダードとメガショップはPCが2.0%から4.0%、モバイルが2.5%から4.5%です。
これに全プラン共通の料金が加わります。いずれも税別です(出典:楽天市場「出店プランと費用」)。
- 楽天ポイントの原資(楽天会員の購入代金(税抜)に付与率を掛けた額。通常1.0%)
- 楽天スーパーアフィリエイト(アフィリエイト経由売上の2.6%から5.2%)
- 取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料(月間売上高の0.1%)
- 楽天ペイ利用料(月間決済高の2.5%から3.5%)
プラン選びについて、公式は「月商が約178万を超えると、スタンダードプランが一番お得」と案内しています。自社の月商見込みをこの分岐点に当てて考えるのが出発点です。
【月商別】固定費型の楽天と変動費型のAmazonで費用の負担はどう変わるか
月商が小さいほど楽天の固定費が重くのしかかり、月商が大きくなるほど差は小さくなります。
下の表は、月額の固定費だけを月商で割った比率です。売上連動の料金は含めていません。自社の月商見込みに近い行を見てください。
| 月商(税別) | Amazon大口出品(月額4,900円) | 楽天がんばれ!(月額25,000円) | 楽天スタンダード(月額65,000円) |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 約1.0% | 5.0% | 13.0% |
| 300万円 | 約0.2% | 約0.8% | 約2.2% |
| 1,000万円 | 約0.05% | 0.25% | 0.65% |
| 5,000万円 | 約0.01% | 0.05% | 0.13% |
月商50万円では、楽天スタンダードの固定費だけで売上の13%が消えます。同じ月商でAmazonは1%程度です。月商5,000万円まで伸びると、どちらも1%を大きく下回り、固定費は判断材料になりません。固定費の差が効くのは立ち上げ期です。
実額で見るなら、楽天の公式料金シミュレーターが使えます。月商50万円の初期表示では、合計は次のとおりです(いずれも税別)。
- がんばれ!:89,137円
- スタンダード:118,638円
- メガショップ:183,638円
前提はPC20.5%とモバイル79.5%、楽天会員による購入95%、アフィリエイト経由15%です。自社の比率は違うため、公式シミュレーターで自社の月商と条件を入れて確かめてください。
ただし、この比較にはまだ入っていない費用があります。楽天は販促の原資が別にかかるため、この章の最後で扱います。
2027年2月の楽天出店料改定で比較の結論はどう変わるか

2027年2月1日から楽天の月額出店料が上がり、固定費の差はさらに開きます。
改定後の月額は、がんばれ!が34,000円、スタンダードが90,000円、メガショップが181,000円です。初期登録費用60,000円は、今回の改定に含まれていません。出典は楽天RMSのサポートニュース(2026年9月17日告知)です。
月商50万円で計算し直すと、がんばれ!の固定費比率は5.0%から6.8%へ上がります。スタンダードは13.0%から18.0%です。立ち上げ期に楽天を選ぶなら、固定費を吸収できる月商見込みの根拠がこれまで以上に必要です。一方、すでに月商1,000万円規模で回っている店舗への影響は限定的です。
※ 既存店舗の経過措置と途中解約の特別措置は、「楽天の出店料はいくら?2027年2月改定後の新料金」で解説しています。
ポイント変倍やクーポンなど料金表に出ない販促原資の扱いと、手数料込みの価格設計
料金表に並ぶ手数料だけを足しても、実際に残る利益は見えません。
楽天は、通常1.0%を超えるポイント変倍やクーポンなどの販促原資が重くなりやすいモールです。広告費が売上全体に占める比率をTACOSと呼びます。広告費の置き方は、モールごとに変えておきましょう。
- 楽天:TACOSをAmazonより2%から4%程度低めに設計しておくほうが安心です。LINK株式会社の支援現場での実感値であり、業界統計ではありません。
- Amazon:広告費の上限は、原価計算から逆算するのが基本です。上代から原価、販売手数料、配送料、残したい利益を引いた残りが広告に回せる枠です。
支援現場での試算では、原価率20%程度の商材なら、上限はおおむね25%程度です。原価率や配送条件によって上下します。
価格そのものの設計も、出店前に決めておきたいところです。実店舗や卸などの既存チャネルを持つ場合、モールの手数料が乗る分だけ利益が薄くなります。送料込みにしたうえで、既存価格のおおむね110%から120%を目安に置くのが、現場での考え方です。
費用構造だけでは出店先は決まりません。次は、そもそも売れ方がどう違うかを見ていきます。
手数料と広告費を引いたあと、いくら残るのか見えていますか。
LINK株式会社では、Amazonでの販売を前提に次の3点を横断して確認します。
- カテゴリー別の販売手数料とFBA手数料を含めた利益構造
- 原価から逆算した広告費の上限
- 月商見込みに対する固定費と販促費のバランス
ご相談では、自社の月商見込みでどれだけ利益が残るかの考え方から一緒に整理します。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
集客と売れ方の違い。Amazonは検索起点、楽天はイベントとリピーター起点

Amazonは検索から商品が見つかり、楽天はイベントとポイントで店に人が集まります。
判断を分ける2つ目の軸がこの集客の起点です。自社商材がどちらの買われ方に合うかで、勝ち筋が変わります。
Amazonは「探して買う」検索起点で、悩みを解決する商品が見つかりやすい
Amazonでは、悩みや用途をキーワードで検索して商品にたどり着く買われ方が中心です。
LINK株式会社へのご相談では「お悩み系」の商材が多く、その多くはAmazonと相性が良いのが現場での実感です。悩みから解決商品を探す購買行動と、検索起点の構造がかみ合うためです。ただし、すべての商材でAmazonが正解というわけではありません。
Amazon内で上位に出るうえで大きく効くのは、直近の販売個数だと考えています。しかも評価は親ASIN(色やサイズ違いをまとめる親の商品コード)の単位で積み上がります。公開されているロジックではありませんが、支援現場での実感として、施策は親ASINの販売個数をどう積むかに集約されます。
楽天はイベントとポイント起点。お買い物マラソンとスーパーSALEに売上が集まる
楽天市場では、モールのイベントとポイント施策に合わせて売上が山をつくります。
公式の大型イベントには楽天スーパーSALEとお買い物マラソンがあります。お買い物マラソンでは、ショップの買いまわりでポイントが最大10倍になります。これらのイベントと「5と0のつく日」が重なるタイミングに、売上が非常に集中するのが支援現場での実感です。
売上が動く理由も、支援現場での実感としてモールで違います。
- 楽天:モールの施策カレンダーが変動の主因になりやすい傾向があります。
- Amazon:季節や天候といった検索需要の増減に連動しやすくなります。
月次の振り返りでは、この違いを分けて見ないと打ち手を誤ります。
楽天では、イベントのたびに組む販促と在庫、ページ更新の段取りが売上を左右します。これは運営体制の話に直結するため、次の章でも扱います。
評価が積み上がる単位の違い。Amazonは商品ごと、楽天はショップ評価とリピーター
Amazonは商品に、楽天は店に実績が溜まります。
楽天はリピーターが非常に多く、ショップ評価が検索面できわめて重要な指標になります。これはLINK株式会社の支援現場での実感です。
一方のAmazonは、先に触れたとおり親ASINの単位で評価が積み上がります。この違いは、品揃えの設計にそのまま影響します。
商品数が少なく1商品で勝負するならAmazon、複数商品で回遊とリピートを取るなら楽天の構造が活きます。自社の品揃えがどちらに近いかを、ここで確かめておいてください。
自社の商材が、検索で探されるタイプかどうか判断できていますか。
LINK株式会社では、Amazonでの勝ち筋を次の観点から確認します。
- 想定キーワードの需要と競合の状況
- 親ASINの設計と販売個数の積み上げ方
- 商品ページと広告のどちらが先かの優先順位
ご相談では、自社商材がAmazonの検索起点に合うかどうかの見立てから一緒に整理します。ベストセラー1位多数獲得の実績があります(※お客様実績に基づく参考値)。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
開店までの期間と運営負担の違い。立ち上げと運営の手間を比較

Amazonは登録から販売開始までが早く、楽天は審査と開店準備に1ヶ月半から2ヶ月かかります。
判断を分ける3つ目の軸が運営体制です。開店までの期間だけでなく、開店後に毎月発生する作業量も比べてください。
Amazonは登録から出品までが早い。大口出品・出品許可・ブランド登録の流れ
Amazonは、出品したい商品が手元にあれば最短10日で販売を始められると案内されています。
流れは、出品用アカウントの登録、大口出品プランの選択、制限カテゴリーであれば出品許可の申請、ブランド登録の順です。ブランド登録を済ませると、自社商品ページの編集権限と保護機能が使えるようになります。新規出品者向けの特典も用意されています(出典:Amazon出品サービス「新規出品者向け特典」)。
※ 登録手順と必要書類は、「Amazon出品の始め方と費用」で解説しています。
楽天は開店まで通常1ヶ月半から2ヶ月。出店審査では事業の実態を見られる
楽天市場はすべての事業者が出店審査を受け、開店までの目安は通常1ヶ月半から2ヶ月です。
内訳は次のとおりで、商材やスキル、商品数によって変わります。
- 出店申込から契約まで:2週間から1ヶ月
- オープン準備:3週間から1ヶ月
利用開始日が課金開始日となります。オープン審査は、オープン希望日の5営業日前までに申請する決まりです(出典:楽天市場「開店までの流れ」)。
審査で落ちる理由は、書類の不備だけではありません。事業所の写真を求められるなど、事業の実態が乏しいと判断されて通らないケースが多い、というのが支援現場での実感です。一度落ちると再審査を申請できるまでに時間がかかります。「とりあえず申請してみる」は取りにくい選択肢です。
開店後も、売上が立つまでには2ヶ月程度を見ておきたいところです。開店日から逆算して、販促と在庫の準備を組んでください。
※ 出店審査の準備と開店までの手順は、「楽天出店代行とは?」で解説しています。
立ち上げ期の壁。どちらもレビュー10件、Amazonはさらに在庫切れ
どちらのモールでも最初の壁はレビュー10件です。Amazonではその先に、在庫切れという壁が控えます。
10件の壁の中身は、モールごとに次のとおりです。
- Amazon:支援現場での実感として、レビュー数と購入率の関係が階段状に動きます。特に9件から10件になるところで大きく変わるため、まずは10件の壁を優先して越えましょう。なお、レビュー獲得に特典や割引を付けるのは規約違反にあたります。
- 楽天:レビュー獲得は必須で、何が何でもまず10件は集めたいところです。ここが埋まらないと動きが非常に鈍くなります。Amazonの基準を当てはめたのではなく、楽天の支援現場で得た実感です。
Amazon側でもう一つ重いのが在庫切れです。一度切らすと直近の販売個数が途切れ、検索順位を元に戻すのが難しくなります。FBAは納品リードタイムやAmazon側の受領作業があり、自社だけでは制御しきれません。直近の販売ペースで2ヶ月分程度をFBAに入れ、残り1ヶ月分になったら追加納品するのが、支援現場での基本ルールです。
成長期は販売速度が過去の実績を上回るため、過去平均での発注では構造的に足りません。最低1ヶ月分の在庫を持つことを基本に、少なくとも週次で販売数量を確認しましょう。そのうえで、向こう1ヶ月の見込みを更新して在庫繰りに反映してください。
運営の負担の違い。ページ制作・イベント対応・物流の手間を比べる
Amazonは商品ページに集中でき、楽天は店舗ページとイベント対応が定常業務になります。
違いが出るのは、次の3つの作業です。
- ページ制作:Amazonは統一フォーマットのため、作業は商品ページの改善に集中します。楽天は店舗ページと商品ページを自社で作り込むため、制作の総量が増えます。
- 物流:どちらも代行サービスがあり、AmazonはFBA、楽天は楽天スーパーロジスティクスです。どちらを使うかで、社内に残る出荷業務の量が変わります。
- イベント対応:楽天では、イベントごとの準備が毎月の定常業務として積み上がります。クーポン設計、ポイント設定、バナー差し替え、在庫の積み増しが一式で必要です。
制作物の呼び方も違い、Amazonの「メイン画像」は楽天では「サムネイル」に当たります。規約も別物なので、同じ素材をそのまま使い回せません。
イベントの段取りを回せる人がいるかどうかが、楽天を選べるかの分かれ目になります。
立ち上げの3ヶ月で、何から手を付けるか決まっていますか。
LINK株式会社では、Amazonの立ち上げ期に次の3点を優先して固めます。
- 商品ページと親ASINの設計
- レビュー獲得と初速づくりの順番
- FBA在庫の持ち方と欠品の防ぎ方
ご相談では、最初の3ヶ月で何を優先するかの考え方を、商材に合わせて一緒に整理します。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
【商材・体制別】Amazonと楽天のどちらに先に出店すべきかの判断基準とチェックリスト

費用構造・集客の起点・運営体制の3軸を自社に当てはめれば、1モール目は決まります。
ここまでの3つの章が、そのまま3軸に対応しています。以下では、先にAmazonを選ぶ条件と、先に楽天を選ぶ条件を並べます。
Amazonを先に選ぶべきケースは検索される商材を少人数で売る場合
次の条件に多く当てはまるなら、1モール目はAmazonが有力です。
- 悩みや用途の言葉で検索される商材である
- 型番品や定番品など、商品名で探される商材である
- 1商品から数商品で勝負する品揃えである
- EC専任が1人から2人程度で、イベント対応に人を割けない
- 月商が立つ前の段階で、固定費を抑えて需要を確かめたい
判断の軸で言えば、上の3つが集客の起点、4つ目が運営体制、5つ目が費用構造に当たります。LINK株式会社へのご相談で多い「お悩み系」商材は、この条件のうち複数に当てはまることがほとんどです。自社EC(D2C)より先にAmazonで需要を確かめる、という起点の置き方も現場ではよく取ります。
楽天を先に選ぶべきケースは店の世界観や権威性で売れる商材を持つ場合
店としての見せ方が効く商材と、イベントを回せる体制があるなら楽天が有力です。
- ギフトや詰め合わせなど、複数商品の回遊で単価が上がる
- 消耗品やこだわり食品など、リピートで伸びる商材である
- イベントに合わせて販促・在庫・ページ更新を回せる人がいる
- 月商見込みが固定費を吸収できる水準にある
回遊とリピートは集客の起点、人の手当ては運営体制、月商見込みは費用構造の条件です。
もう一つ、楽天で強みになるのが権威性の情報です。受賞歴、専門家の推薦、メディア掲載、SNSでの紹介実績といった素材があります。これらは楽天のページで非常に大きく効く、というのが支援現場での実感です。こうした素材を持っている会社は、楽天の構造を活かしやすいと言えます。制作会社にページを依頼する段階から、これらの素材を渡せるようにそろえておいてください。
※ 楽天のページで権威性の情報をどう使うかは、「楽天SEOとは?順位の決まり方と費用の目安」で解説しています。
立ち上げ期は1モールに絞る。同時出店を勧めない理由と運転資金の目安
開業直後に複数モールを同時に立ち上げるのは勧めません。
商材に合わせて、どこか1つのモールに絞るべきだというのが現場での考えです。理由は単純で、人も資金も分散するからです。全モールを外部に委託するのは、費用の面で現実的ではありません。
資金の面では目安があります。モールに特化して完全に一人で回すのであれば、運転資金は500万円ほどが一つの目安です。ただしこれは最低ラインのイメージで、商材や在庫の持ち方によって変わります。資金が多いほど販促に回せるため、勝率は上がります。
なお「外注先を1社にまとめるか分けるか」は、すでに複数モールに出ている会社の論点です。こちらは最後の章で扱います。
【判断チェック5問】自社が先に出店するモールを決める質問
次の5問に答えると、自社がAmazonと楽天のどちらに寄っているかが見えます。
| 質問 | 対応する判断軸 | 「はい」ならどちら寄りか |
|---|---|---|
| ①月商の見込みで楽天の固定費を吸収できるか | 費用構造 | 楽天 |
| ②商材は悩みや用途の言葉で検索されるか | 集客の起点 | Amazon |
| ③受賞歴や掲載実績など、店の信頼を示す素材があるか | 集客の起点 | 楽天 |
| ④イベントごとに販促・在庫・ページ更新を回せる人がいるか | 運営体制 | 楽天 |
| ⑤イベント対応に人を割けず、商品ページの改善に集中したいか | 運営体制 | Amazon |
読み方はこうです。①③④に「はい」が並ぶなら、楽天を1モール目にする根拠があります。②⑤に「はい」が集まるならAmazonが先です。
判定が割れたときは、①の費用構造を優先してください。①に「はい」と言い切れないなら、Amazonから始めましょう。固定費の軽いAmazonで需要を確かめるほうが、外した場合の損失が小さいためです。ただし月商見込みが明確で③④もそろっているなら、楽天から始める判断も十分に成り立ちます。
チェックの結果が割れて、決めきれていませんか。
LINK株式会社では、出店先を決めたあとの進め方まで含めて確認します。
- 商材と月商見込みから見たAmazonの勝ち筋
- 出品から売上化までの優先順位
- 社内で持つ業務と外に出す業務の線引き
ご相談では、Amazonを1モール目にする場合の進め方を一緒に整理します。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
Amazonと楽天の両方に出店するときの進め方。2モール目に広げる順番と体制

2モール目は、1モール目の伸びしろが尽きてから広げます。
ここからは、すでに片方で売っている会社向けの話です。広げるタイミング、人件費の見方、外注の分け方の順に整理します。
2モール目に広げるタイミングの判断基準は1モール目の伸びしろ
1モール目に明らかな改善余地が残っているなら、2モール目より1モール目を優先したほうが投資効率は高くなります。
判断の基準は次の2つです。
- 1モール目の伸びしろ:見るのは、売上を分解したセッション(流入)、CVR(購入率)、平均単価の3つです。まだ伸ばせる変数が残っていないかを確かめましょう。課題がどれにあるかで打ち手が変わるため、施策先行ではなく課題先行で選ぶのが基本です。
- 利益フェーズに入っているか:立ち上げから3ヶ月、あるいは半年といった期間を、あらかじめ投資フェーズと決めておきましょう。その間はTACOSを20%程度まで踏み込み、利益を残すフェーズでは10%前後に下げるのが、支援現場での運用の目安です。
投資から利益への切り替えが済み、利益が残る状態になってから、2モール目に着手してください。
兼務スタッフの人件費をモール別に按分する運用と利益の見方
2モール運営でいちばん見えにくくなるコストが人件費です。
社員がAmazonと楽天を兼務している場合、社会保険料を含めた人件費をモールごとに按分しましょう。そのうえで、どのモールにどれだけのリソースを振るかを、管理者側で決めておいてください。人件費は見えづらいため管理から漏れやすく、利益構造に大きく効きます。
按分しないままだと、モール別の利益が見えません。その結果、伸びないモールに人を張り続ける状態が続きます。削減の話ではなく、売上に対する適切な比率を決めて配分する、という考え方で運用してください。
運用を外部に任せる場合、1社にまとめるかモールごとに分けるかの判断
1社で全モールを見られるなら、まとめたほうが効率的です。
外注先の分け方には、2つの形があります。
- 1社にまとめる:情報共有の手間が減り、在庫や販促の方針もそろえやすくなります。ただし、特定のモールだけ伸び悩むケースもあります。
- モール別に分ける:支援会社ごとに得意なモールがあるため、分けて発注するのも有効な選択肢です。
まず1社にまとめて任せ、特定モールの伸び悩みが続いたら分けることを検討する、という順番が現実的です。
外部に任せる利点は、採用費や教育コストをかけずに運用体制が安定することです。EC人材の採用は時間がかかり、育った人が抜けると運用が止まります。この不安定さを避けられる点が、内製との一番の差になります。
※ Amazonの運用を任せる場合の支援内容は、LINKのAmazon運用代行サービスで確認できます。
発注時にそろえておきたいのが広告予算の握り方です。「月◯万円」という固定金額ではなく、売上に対する比率で握ります。固定金額だと、次のずれが起きるためです。
- 売上が伸びている月:上限で止めると、機会を逃します。
- 売上が落ちている月:予算を消化すると、比率が跳ね上がります。
モールごとに比率で握るのが基本です。楽天側は、販促原資の分だけ低めに置きましょう。
※ 楽天で広告費を売上の比率で決める考え方は、「楽天の売上アップは何から手をつけるか?」で解説しています。
※ 代行会社の比較軸は、「ECモール運用代行を比較」で整理しています。
2モール目を足したあと、どちらの利益も見えていますか。
LINK株式会社では、多販路化した事業者の運用を次の観点で整理します。
- モール別の売上と広告費、人件費の按分
- 広告予算を比率で握る運用ルール
- 社内と外注の役割分担の見直し
ご相談では、Amazonを2モール目に加える場合の順番と体制を一緒に整理します。サービス満足度97%以上、1年以上継続率90%以上の実績があります(※お客様実績に基づく参考値)。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
Amazonと楽天の比較でよくある質問
- Amazonと楽天に同時に出店してもよいですか?
立ち上げ期は、商材に合う1モールに絞るのが基本です。開業直後に複数モールを同時に立ち上げると、人も資金も分散します。全モールを外部に委託するのも費用の面で現実的ではありません。
例外は、すでに片方のモールで利益が残る状態まで到達していて、もう一方でも売れる根拠がある場合です。売上をセッション・CVR・平均単価に分解し、1モール目の伸びしろが尽きているかを先に確かめてください。
- 楽天の出店料が上がると、Amazonのほうが安くなりますか?
固定費の差は広がりますが、それだけで安いほうを決められるわけではありません。2027年2月1日から、がんばれ!プランは25,000円から34,000円へ上がります。スタンダードプランは65,000円から90,000円になります。
ただし月額のほかに、楽天はシステム利用料、Amazonは販売手数料が売上に連動してかかります。月額だけでなく、自社の月商見込みに対する総額で比べてください。
- 小口出品でもAmazonと楽天を比較する意味はありますか?
法人が本格的に運用するなら、大口出品を前提に比較してください。小口出品は1商品あたり100円と販売手数料という体系で、少量を試す用途には向きます。
一方で、大口出品でしか使えない機能があります。広告や一括出品などが該当するため、月商を伸ばす前提なら大口出品との比較になります。利用できる機能の範囲は、Amazon出品サービスの料金ページで確認してください。
- 楽天の出店審査に落ちたら、すぐ再申請できますか?
すぐには再申請できず、時間がかかります。支援現場での実感として、一度落ちると再審査を出せるようになるまでにかなりの時間を要します。
落ちる理由は書類の不備だけではありません。事業所の写真を求められるなど、事業の実態が乏しいと判断されるケースが多くあります。申請前に、事業実態を示せる資料をそろえてから臨んでください。
- 楽天の契約期間中に撤退できますか?
各プランの契約期間は1年で、途中解約の条件は公式と担当コンサルタントへの確認が必要です。なお2027年2月の出店料改定にともない、契約途中の解約やプラン変更を申請できる特別措置が設けられています。申請期間などの詳細は、本文で紹介した楽天の出店料の記事で解説しています。
- Amazonでは販売手数料のほかにどんな費用がかかりますか?
料金ページに並ぶのは、出品プランの料金、販売手数料、FBAの手数料、その他の費用です(2026年9月21日確認)。出品プランの料金は、大口出品なら月額、小口出品なら1商品ごとにかかります。FBAを使う場合は、配送代行手数料と在庫保管手数料が加わります。
料金体系は改定されるため、契約前には必ず公式の料金ページで最新の項目を確認してください。カテゴリー別の料率も同じページから確認できます。
- Amazonと楽天の運用を外部に任せると、費用はどのくらいですか?
コンサルティングと運用代行がセットになった支援では、月額おおむね30万円から50万円が一つの目安です。これは支援現場での目安であり、対応範囲や商材、モール数によって変わります。
広告運用だけを切り出すか、商品ページ改善まで含めるかでも金額は変わります。実際の金額は個別にお問い合わせください。
- Yahoo!ショッピングも比較に入れるべきですか?
本記事は、法人の1モール目でとくに迷いやすいAmazonと楽天の2択に絞って整理しました。3つ目以降の販路を含めて検討する場合は、モールごとに集客の起点と運営負担が変わる点を同じ枠組みで比べてください。
モール別の運用の違いと外注の考え方は、記事末尾の関連記事で扱っています。
まとめ:Amazonと楽天の出店は費用構造・集客の起点・運営体制の3軸で1モール目を決める
Amazonは商品を出品するマーケットプレイス型、楽天は店を出店するテナント型です。この違いが、費用と集客と運営に波及します。
費用は、月商に対する固定費の比率で見てください。月商50万円の楽天スタンダードは売上の13.0%、2027年2月以降は18.0%です。月商が大きいほど、この差は判断材料から外れます。
集客はAmazonが検索起点で商品単位、楽天がイベントとリピーター起点でショップ単位です。開店までの期間はAmazonが短く、楽天は審査を含めて通常1ヶ月半から2ヶ月です。
この3軸をチェック5問で自社に当てはめ、1モール目を1つに絞ってください。1モール目の伸びしろが尽きて利益が残る状態になってから、2モール目に広げるのが、失敗の少ない順番です。
出店先は決まっても、売れる運用設計で止まっていませんか。
LINK株式会社では、Amazonでの販売を前提に次の3点を横断して確認します。
- 商品ページと親ASINの設計、広告の組み立て
- FBA在庫と欠品リスクの管理
- 手数料と広告費を引いたあとの利益構造
ご相談では、Amazonで利益が残る運用設計の考え方から一緒に整理します。売上が平均420%以上に伸びた実績があります(※お客様実績に基づく参考値)。
LINK株式会社は、元Amazon出身者が在籍するAmazon専門チームとして、100社以上の運用改善に伴走してきました。まずは無料相談で、貴社の状況と目指すゴールを伺ったうえで、運用代行によるご支援内容をご提案します。
LINKのEC支援サービスは、動画でも紹介しています。
- 参照した一次情報・公式情報
- Amazon出品サービス「料金プラン」
- Amazon出品サービス(販売開始までの期間)
- Amazon出品サービス「新規出品者向け特典」
- 楽天市場「出店プランと費用」
- 楽天市場「月額コストと手数料の詳細」
- 楽天市場「開店までの流れ」
- 楽天市場「Amazon・Yahoo!ショッピングとの違い」
- 楽天RMSのサポートニュース(2026年9月17日告知・月額出店料改定のお知らせ)
- 楽天グループ「2025年度通期及び第4四半期決算説明会資料」(出店店舗数・2026年2月時点)
- 記事監修
- 公開日: 2026年9月26日 / 最終更新日: 2026年9月26日
- 監修者:南雲 宏樹(LINK株式会社 代表取締役 / 元Amazon Japan)
- リクルート、Amazon Japan(ECコンサルタント)を経てLINK株式会社を創業。Amazon公認パートナー(Adsパートナー認定)で、元楽天ECCも在籍しています。
- 本記事はAmazon出品サービスおよび楽天市場の公式情報と、LINK株式会社の支援実績データを基に作成しました。
▶ ECモール運用代行を比較|Amazon・楽天・Yahoo!のモール別の違いと費用・選び方
▶ 楽天の出店料はいくら?プラン別の月額と2027年2月改定後の新料金・実質負担


